“清宮流”で新しい早稲田実を創造中 センバツに「行けると思います」と即答

清水岳志

20種類に増えた体作りのメニュー

高校通算71本塁打を誇る。4番・野村とのコンビは全国でも屈指の破壊力を誇る 【写真は共同】

 これらのためには筋力をアップする必要がある。筋肉の分、体重5キロをつけようとしている。体作りのメニューは10種類増えて20種類ほどになった。4番の野村大樹が「清宮キャプテンになって、アップの時間が倍になった。成果もあってメチャクチャ飛距離が伸びてる」とスローガン効果を実感している。

 この体幹トレーニングに限ってだが、「ここ(早稲田実)にはそういう文化がなかった」と清宮は言った。筋力トレーニングは足りない、とダメ出ししたのだ。新しい早稲田実を創造し、清宮流文化を付け加える。

 この「GO」の中にはもうひとつ、大きな意味が込められる。

「ランナーがいて併殺打を打ったらどうしよう、ライナーを打ったらどうしようとか結果を恐れず、前を向いて積極的にいこう」

 ブロック予選でこんなことがあった。2戦目の立志舎高戦の5回、投手の服部雅生が送りバントを失敗した。ベンチでうなだれる服部に清宮は「忘れることも技術、勝利の近道だよ。前に進もう」と声をかけたという。ここは精神面のGOだ。

清宮、野村の3、4番は全国屈指

 ブロック予選は八王子桑志高に24対0、立志舎高には12対0とコールドで勝ち抜いた。清宮は7打数4安打1本塁打、夏から4番に座る1年生・野村も4安打1本塁打。2人は全国屈指の3、4番と言っていいだろう。ちなみに清宮の高校通算ホームランは71本になっている。

 夏からのレギュラーだった福本翔は「1番・センター」に。夏の準レギュラー、5番の西田燎太はブロック予選で長打を連発した。内野のキーマン、セカンドの橘内俊治も旧チームから経験を積んでいる。

 気になるのが投手陣だが、エースナンバーを背負う服部は立志舎高戦に先発し7回を無失点に抑えた。今年の夏まで崩していたフォームが安定し球威が戻ってきた。「大舞台を経験している服部が中心にならないと」と和泉監督は期待を込める。

 他には夏の西東京大会に登板した石井豪、赤嶺大哉の1年生左腕と2年の右腕・大垣洸太らがいて「例年よりは能力のある投手がいる。誰かが抜けだして軸になってくれるように競争心をあおりたい」と和泉監督。旧チームと比べれば今年のチームは総合力で上だろう。

8日からセンバツをかけた都大会

「甲子園に出られなかったので、今年の夏は長かったです……。でも、キャプテンになって新チームのためにすぐに切り替えられた。去年と違った意味の充実した期間だったかなと」

 清宮の視線は前にしか向いていない。8日からの東京大会で順当にいけば準々決勝で関東一高か東海大菅生高と当たる可能性があるし、他校のレベルも例年通りに高い。道は険しいが、センバツ出場を問われて、「行けると思います」と即答した。

 伝統を受け継ぎつつ、新しい文化も色付けしようとしている清宮。その意気は、センバツへの道も切り開いていくに違いない。

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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