石川祐希が2度目の海外挑戦を決めた理由 経験を積むだけでなく“勝負”するために
石川がサーブにこだわる訳
2度目の海外挑戦を控える石川祐希。初めて観戦した五輪で感じたことは? 【スポーツナビ】
9月17日に日本体育大学で開催された関東大学男子1部リーグ、国士舘大学との第3セット、連続サービスエースで得点した石川祐希の表情は晴れやかだった。
「最近サーブの調子が良いんです。良い時のイメージをしっかり意識して打つと、結構思い通りにいける。前は無意識で打つこともあったんですけれど、無意識で打っても決まるスパイクとは違って、止まった状態から始まるサーブは1本1本意識した方がいい。調子が良いなと思う時ほど、細かく意識をするように心掛けています」
以前よりも強く、サーブにこだわる理由がある。
五輪最終予選(OQT)で敗れ、リオデジャネイロ五輪出場を逃がしてから2カ月余り。ユニホームを着て、マラカナンジーニョのコートに立つことはできなかったが、ブラジルの地に、石川はいた。4年後の東京五輪に向け、出耒田敬とともに予選リーグから決勝まで、多くの試合を現地で観戦した。
初めて見る五輪。世界を制するために、どんな戦いをしなければならないのか。試合を通して得る幾多もの刺激が、石川に新たな変化をもたらした。
現地観戦した五輪。感じた“サーブ”の差
現地で観戦した五輪では、特にサーブの面において世界との差を実感したという 【坂本清】
雰囲気です。ブラジルでの開催ということもあったかもしれないですが、すごく良い雰囲気で盛り上がっていて「自分もここでやりたいな」と思いました。ブーイングも結構あって、相手チームがサーブの時はワーワー騒ぐんですけれど、自分自身はそっちの方がやりやすいな、と思いました。
イタリアも同じで、うるさいのはうるさいんですけれど、そんなに気にならないです。どちらかというと、スティックを使ってみんなでそろって応援する日本の方が、正直やりにくいな、と感じることもあるので(笑)。
――雰囲気の他に、選手やチームなどで気になったことはありましたか?
最終予選から調子を上げたカナダは五輪でも好調で、予選リーグでは米国にストレートで勝ちましたし、アルゼンチンも強く印象に残りました。細かいプレーでは、ハイボールの処理の仕方を見ていました。特にアルゼンチンの(ファクンド・)コンテや、ポーランドの(ミハウ・)クビアクとか、特別身長が高いわけではない選手のプレーを意識して見ていました。
個人の技術もあるけれど、どれだけ普段からそういうプレーをやっているか、というところに違いが出ると思います。自分も去年からショートサーブを打つようになったんですが、最初はうまくいかなかったけれど、続けているとだいぶ安定してきました。自分より高い相手に対しても、まずやってみること、継続していくことはすごく大事だと感じました。
――他のチームとの差は、広がっていると感じましたか?
そうですね。五輪を見ると広がっていると思いました。ハイセットからの攻撃もそうですし、サーブ、サーブレシーブ、ブロック。どのプレーにおいても、レベルは開いていると思います。特にサーブですね。バレーでは、どのプレーもその年によってデータに違いが出るらしいのですが、サーブだけは毎年レベルがどんどん上がっているそうです。
実際に五輪の試合を見ていても、大半が強いサーブが飛び交うサーブゲームになっている印象は強くありましたし、準決勝のイタリアvs.米国でイタリアの(イバン・)ザイツェフのサーブは強烈でした。あそこであのサーブを3本連続で打てるのか、と驚きました。日本も同じように、サーブで攻めなければ勝てないと思ってやってきましたけれど、海外の選手は大事な場面で強いサーブがバンバン入ってきますし、ミスも少ない。自分たちはそういう場面でミスが多かったと思います。