地区優勝間近のレンジャーズの強さ 誤算続きも穴を埋める選手が次々台頭

丹羽政善

プレーオフへ心強いダルの復帰

5月にダルビッシュが復帰したことで、やりくりに苦しんでいたレンジャーズ先発陣の台所事情を楽にした 【写真は共同】

 そうした中でダルビッシュ有が5月28日に昨年3月に受けたトミー・ジョン手術から復帰した。復帰3戦目のアストロズ戦で肩に張りを覚えて、故障者リスト入りしたが、7月に復帰すると、失点を重ねた試合もあるが、徐々に安定感を発揮しつつある。

 そしてそのダルビッシュは今、プレーオフのカギを握る存在といえよう。実は今季、レンジャーズの先発陣にも誤算が続いた。先発ローテーションを守ったのはコール・ハメルズとマーティン・ペレスのみ。コルビー・ルイスは右肩の張りで7、8月の2カ月を棒に振った。ほぼ同時期、デレック・ホランドも左肩の張りで故障者リストに入っている。後半に入ってのやりくりは決して楽ではなかったが、そこにダルビッシュが戻ったことで傷口が広がらずにすみ、さらには、プレーオフに向けて心強い存在となった。 

 17日の試合も含め、このところダルビッシュは打ち込まれたりしているが、現在は、プレーオフに向けて、試行錯誤を続けているところ。9日のエンゼルス戦で好投しながら、そこでは決して満足しない。プレーオフまでまだ少し時間がある。ダルビッシュはもう少し模索を続けながら、今季最高のパフォーマンスが出せるようなフォームを作り上げていく。

3000安打間近のベルトレの存在

 ところで、そのレンジャーズの精神的支柱といえば、なんといってもベルトレである。

 マリナーズ時代、J.J.プッツとリッチー・セクソンが、ベルトレにチームリーダーとなることを促すべく、試合後、彼にメディア対応を任せようと試みた。手法は簡単。試合が終わると、ほとんどの選手がダイニングに消え、ベルトレをクラブハウスに残したのである。 

 ところが当時、「上手く行かなかった」とプッツ。 

「彼はその役割を決して、居心地がいいと感じていなかった」

 結局、ベルトレまでも、ダイニングに隠れるようになった。

 しかし今や、誰もが一目置く。彼が話をすれば、誰もがその言葉に耳を傾ける。彼は作られたリーダーではなく、なるべくして、本当のリーダーとなった。

 ちなみに現在の通算安打は2929本。順調なら来季、イチローに次ぎ、大リーグ31人目の3000安打に達することになる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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