車いすマラソン洞ノ上、響いた体調不良 7位に悔しさにじむも、気持ちは東京へ

高樹ミナ

大きな不安を抱えてスタート

3大会連続入賞を果たしたものの目標のメダルには届かず、悔しさをにじませた洞ノ上 【写真は共同】

 リオパラリンピック最終日の現地時間18日、陸上競技のフィナーレを飾る車いすマラソンが風光明媚(めいび)なコパカバーナ海岸で行われた。

 レース開始時の気温は31度。湿度は66%。この時期のリオにしては蒸し暑い気候だ。過酷なコンディションのもと、洞ノ上浩太(ヤフー)が1時間30分11秒で日本人最上位の7位入賞。パラリンピックはこれが3度目となる洞ノ上は、2008年北京大会5位、12年ロンドン大会6位に続く連続入賞も果たした。

「思った以上に暑かった。すごくタフだった」と洞ノ上が振り返るレースは、序盤からマルセル・フグ(スイス)とカート・ファーンリー(オーストラリア)の二人が飛び出す展開。フグは今大会の陸上トラック競技ですでに金メダル1個と銀メダル2個を獲得し、ファーンリーも銅メダルを手にしている強豪だ。

 洞ノ上、副島正純(ソシオSOEJIMA)、山本浩之(Team Heart Space)の日本勢は3位集団でレースを進めた。

「レース最初のコーナーでマルソー(マルセル・フグ)、カートと一緒になれたが、付いて行き切れかった」と話す洞ノ上。実は万全なコンディションではなく、リオに入る直前に風邪をこじらせ、渡航前の最後の仕上げができなかったという。さらにリオに入ってからも発熱し、大きな不安の中でスタートラインに立っていた。

東京へ意欲「できることなら出たい」

万全で臨めなかった洞ノ上(左)。持ち味のスタミナを発揮することはできなかった。右は11位の副島 【写真は共同】

「20キロぐらいから疲れてきて、『まずい、まだ半分もあるな』と焦りを感じた。(3位に入った今年2月の)東京マラソンの時はレースが進むにつれて周りが疲れていくのが分かったが、今日は自分がどんどん疲れていった。暑さもあって、自分の持ち味であるスタミナを発揮することができなかった」

 くたくたになりながら、悔しさをにじませる洞ノ上。レース中には軽い熱射病のような状態にもなり、押しつぶされそうな気持ちと終始戦っていたと話す。それでも何とか持ちこたえ迎えた終盤は、トップの二人が依然として後続に大差を付けて競り合う中、3位争いはゴール手前100メートルのスプリント勝負へ。必死に食らいついた洞ノ上は3位の選手から3秒遅れの7位でフィニッシュした。トップのフグとは3分55秒差だった。

 レース後、4年後の2020年東京大会にはできることなら出たいと意欲を見せ、「自分のような年齢(42歳)でもパラリンピックで戦えるということを見せたい」と話していた。

 なお、副島は11位、山本は12位、久保恒造(日立ソリューションズ)は18位だった。
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著者プロフィール

スポーツライター。千葉県出身。 アナウンサーからライターに転身。競馬、F1、プロ野球を経て、00年シドニー、04年アテネ、08年北京、10年バンクーバー冬季、16年リオ大会を取材。「16年東京五輪・パラリンピック招致委員会」在籍の経験も生かし、五輪・パラリンピックの意義と魅力を伝える。五輪競技は主に卓球、パラ競技は車いすテニス、陸上(主に義足種目)、トライアスロン等をカバー。執筆活動のほかTV、ラジオ、講演、シンポジウム等にも出演する。最新刊『転んでも、大丈夫』(臼井二美男著/ポプラ社)監修他。

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