新体操、日本に突きつけられた課題 強い選手の育成へ、強化策の転換を
存在感増す若手選手
今大会13位に入った河崎羽珠愛(かわさき・うずめ)は、皆川と同学年の18歳だ 【写真:赤坂直人/スポーツナビ】
「新ルールになる来年は、シーズンはじめから4種目決められるようにして、世界での順位を上げていきたい」とこの日も明言。頼もしい限りだが、自国開催の大舞台を目指しているのは何も彼女だけではない。
今大会、皆川と同じイオンのシニア選手として出場した河崎羽珠愛(イオン)も、大会後に「目標は東京五輪」と言い切っている。また、目覚ましい成長を見せたジュニアの大岩千未来(イオン)も「東京五輪」を口にしている。さらには、今大会では悔しい予選敗退となった喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中)も、4年後を視野に入れ、すでにジュニアの国際大会で経験を積んできている。
激しい競争で選手のメンタル強化を
エキシビションに登場し、華麗な演技で観客を魅了した日本の団体代表フェアリージャパンPOLA 【写真:赤坂直人/スポーツナビ】
それならば、4年前に比べれば、ずっと有望選手が増えてきている今、東京五輪の候補選手をあまり早くから絞り込むのではなく、多くの選手に可能性がある、という状況を作り出すことも必要ではないだろうか。今まで以上に、代表争いがし烈になってくれば、プレッシャーに勝てない選手はまず国内選考で落ちていくだろう。
リオ五輪で団体金メダルを獲得した体操男子のように、世界一厳しい国内選考を勝ち抜いたという強さをもった選手たちは、五輪本番でも力を出し切った。
世界との差を縮めるために、まずは少数精鋭の集中強化を行ってきた新体操でも、メンタルの強化を考えれば、今までとは違った競争原理を持ち込むことも必要なのかもしれない。
今大会のエキシビションで演技披露を行ったフェアリージャパンPOLAは、五輪の団体決勝では失敗したリボン4本投げに成功し、躍動感あふれるエネルギッシュな演技を見せた。これが五輪だったら、と思わずにいられない演技だった。力を出し切れれば、世界のトップとの差は以前のようには大きくはない。団体も、個人も。
「力を出し切れるメンタルをつくるには何が必要なのか」
2020年東京五輪へ向けて、新体操界の最重要課題と言えそうだ。