国枝、状態は「十分に仕上がった」
初戦で完勝、不安の右ひじも問題なし

3連覇へ好スタート

パラリンピック3連覇へ、男子シングルス2回戦を完勝した国枝
パラリンピック3連覇へ、男子シングルス2回戦を完勝した国枝【写真は共同】

 国枝慎吾(ユニクロ)がパラリンピック3連覇に向け好スタートを切った。リオデジャネイロ大会4日目に行われた車いすテニス男子シングルス2回戦に登場し、地元ブラジルのダニエル・ロドリゲスを2−0(6−2、6−1)のストレートで下して3回戦に進出した。


 続くダブルス2回戦でも齋田悟司(シグマクシス)と組んで、ニコ・ラングマン、マルティン・レグナー組(オーストリア)を2−0(6−2、6−0)で圧倒。こちらは準々決勝進出を決めた。国枝は試合後の第一声で、「しっかりと突き放せてよかった」と2試合とも危なげないスコアで勝てたことを素直に喜んだ。


 プレー内容も、調整が順調なことをうかがわせるものだった。特にロドリゲス戦の第2セットでは17連続ポイントを奪う圧巻のプレー。観客は地元のロドリゲスがポイントを奪うたびに大声援を送り、彼を懸命に後押ししようとするのだが、この時ばかりは見せ場なく静かに戦況を見守るしかなかった。


 国枝はパラリンピックまで半年を切った4月に、慢性的に違和感があった右ひじを手術した。5月に日本で行われた世界国別選手権で4カ月ぶりの実戦復帰を果たしたものの、術後の経過が思わしくなく、痛みが再発。7月のウィンブルドンは欠場を余儀なくされた。


 調整不足が懸念されたが、リオに入る直前には、カナダで行われたバーミンガム・クラシックに出場して優勝を飾った。この日も試合後に「コンディションは十分に仕上がった」と自信をのぞかせ、右ひじについても「まったく問題なくできた」と言い切った。ダブルスを組む齋田も、国枝の状態について「安心して見ていられる。すごく心強い」と太鼓判を押した。

技術面で感じた2つの課題

 しかし、国枝に言わせれば「内容はまだまだ不十分」。この日の出来を「30〜40点」と辛口に評価し、3連覇に向けては技術面で2つの課題を口にした。


 まず挙げたのがコートを広く、大きく使うこと。この日はショットのコースが甘く、相手を左右に走らせることができなかった。ベースライン深くにボールを打ち込むなど、前後の揺さぶりも少なかったという。そのため、相手の体勢を崩せず打ち返すコースを限定できなかった。結果として返球がどこに来るのか予測できず、後手に回る場面を作ってしまった。


 ロドリゲスはターンが遅く、バックへの反応が遅れる傾向があるため、国枝はそこを突いてポイントを積み上げた。チェアワークで上回れるため、ラリーで競り勝つことができたのだ。ただ、世界ランク18位のロドリゲスとは違い、これから対戦する上位勢にそれだけでは通用しない。国枝もショットはもっと広角に角度を付け、ドロップショットを活用するなど前後の揺さぶりを増やす必要性を感じたという。


 もうひとつはサーブだ。この日はファーストサーブの確率を意識して試合に臨み、ロドリゲス戦では80%と高い成功率を残した。しかし、こちらもコースが甘く、国枝の納得のいくレベルには程遠い。


「もう少し攻撃的にいかないと、これからリターンエースを食らうなと思いました。このままではまだまだだと思っています。いろいろと試しながらやっている部分もありますし、1日ずつ上げていければと思います」

内容を追求しつつ、勝利にこだわる

グランドスラムでは優勝40回。大舞台での勝ち方は熟知している
グランドスラムでは優勝40回。大舞台での勝ち方は熟知している【写真:ロイター/アフロ】

 国枝は課題を挙げた一方で、こんなことも言っていた。


「内容を追求しなければいけないところもあるし、勝利にこだわらなければいけないところもある。その辺のバランスですよね。自分のプレーができて、なおかつ勝てれば最高ですけれど、そうじゃない時もあるのがパラリンピックの舞台だと思います」


 勝つためには自分らしいプレーをすることも大事だが、それができなかった時に何ができるかも重要だ。グランドスラム車いす部門で男子世界歴代最多となる優勝40回を数え、トーナメントの勝ち方を知る国枝だからこそ重みを持つ言葉である。


 パラリンピック3連覇まであと4勝。コンディションは問題ない。大会の勝ち方も熟知している。1試合1試合、試行錯誤を繰り返しながら、勝利を積み重ねてくれるのではないか。そう感じさせた国枝慎吾のリオ初戦だった。


(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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