ロマゴンが激戦を制し4階級制覇を達成 待ち望まれる井上尚弥との運命の一戦
ロマゴン撃破には「最高のコンディション」が絶対条件
KO勝利とはならなかったが、最終12ラウンドまで倒すパンチを狙っていたロマゴン 【Getty Images】
クアドラスは本物の力を持った実力者なのだから、転級初戦のゴンサレスが苦しむのはある意味で当然だった。確かなスキル、豊かな経験を備える4階級制覇王者は、今後、スーパーフライ級での戦いにも適応していくはずだ。
「すごいスタミナですね。完全に倒しにいっているパンチ。それを12ラウンド続けるというのは相当なスタミナです」
井上も指摘していた通り、ゴンザレスが休みなく繰り出す多彩なコンビネーションは脅威。そのパンチにスーパーフライ級でもよりうまく体重を乗せられるようになれば、この選手は依然として怪物的な力を保つに違いない。
そんな“ロマゴン”に太刀打ちするには、井上も前戦のように腰、拳に不安を抱えた状態では余りにも苦しい。可能な限り最高のコンディションを作ることが、ゴンサレス撃破の絶対条件になるはずである。
来夏以降に“ビッグファイト”実現なるか!?
「来年中にやるよ。(ゴンサレスが)まずは来春にも(WBA、WBO世界フライ級王者)ファン・フランシスコ・エストラーダと戦って、その後になる」
今戦の前日計量の際、ゴンサレスのプロモーターを務める帝拳ジムの本田明彦会長はそう明言していた。
また、前述通り、クアドラス戦の後、井上の実力を高く評価するHBOのマックス・ケラーマンはゴンサレスに井上に関する質問をぶつけていた。こんなクエスチョンが出てくるのは、米国のメガケーブル局も近未来のゴンサレス対井上戦を視界に捉えているからに他ならない。
しかも今夜、ゴンサレスがクアドラスを相手に名勝負を演じたおかげで、軽量級の王者たちへの注目度は必然的にアップする。まだ見ぬ日本の“モンスター”との早期対戦への機運が、さらに高まることも十分に考えられる。
2016年9月10日は、運命の一戦が本格的に動き出した日だったのかどうか。今後、来年の夏以降に向けて、両陣営の動き、ゴンサレスの適応、井上のコンディションに注目が集まる。そのすべてがかみ合った時――。世界的な意味で待望され、日本の歴史に刻まれるであろうビッグファイトの実現が、ついにはっきりと見えてくるはずである。