五輪を経験した今、大島僚太が思うこと 「サッカーのことなら何でも知りたい」
同世代を意識しているつもりはない
川崎でもチームメートの中村憲剛(中央)には負けたくないと思ってやっているという大島 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
自分としては、普段から同世代を意識しているつもりはないんです。チームでも(中村)憲剛さんや(大久保)嘉人さんに負けたくないという思いでやっている。だから、年齢的なことは考えなかったんですが、確かにこのレベルならばできると思った部分はありました。ボールを奪われないことがすべてではないですけれど、僕がボールを奪われないことで、チームとしては攻撃のスイッチを入れやすかったところもあったかなと。そういうところは、すごく自信になる大会でした。
――逆に個人として課題を感じた部分は?
攻撃では自分自身に得点がなかったことですね。初戦のナイジェリア戦で最初にチャンスが来たのは僕でしたから。それに、確かに得点には絡めたかもしれません。でも、ナイジェリア戦もコロンビア戦も追いかける展開でしか決定的なプレーはできていないんです。だから、やっぱり五輪で自信を得たかと聞かれると、「そうです」とは言い切れない。五輪の決勝、ブラジル対ドイツを見ましたが、自分たちより、かなりレベルが高いと思いました。それを見て、あらためてあの中でできてこそだなと感じました。
守備に関して言えば、1対1がすべてではないですけれど、もっとボールを“取れる”と思える瞬間を増やしていきたい。「取れそう、取れそう、取れた」という場面はあっても、確実に「取れる」という瞬間は少なかったので。それに見ているだけの守備をやめたいんです。日本人はどうしても、ボールを奪うタイミングを図ったり、遅らせる守備が多い。何か、見ているだけの守備って、自分が全く歯が立たない感じがして、最近、自分自身にいら立ってきたんですよね。もっと寄せることも重要だなって。常にボールを奪える位置に寄せたい。
――何でもできるようになりたいと常に話していますが、さらにそれを感じた大会だったんですね。
そうですね。自分でも負けず嫌いなのは自覚しています。欲張りなんで(笑)。特に守備も面白いと思えるようになってきている。今は、チームで言えば憲剛さんをはじめ、いろいろな人からサッカーの話を聞きたいなと思います。五輪直前にやったブラジル戦でも給水タイムの直後に失点した。やっぱり、集中が切れやすい時間帯で失点するって痛感したからこそ、声を出す必要性も感じていますし、もっともっとサッカーを知りたいと思った。誰にも負けたくないから、本当にサッカーのことなら、何でも知りたい。
より刺激がある場所を求めていきたい
半年での自分の成長を実感したという大島。より刺激があると思える場所を追い求めたいと語る 【スポーツナビ】
最後はサンパウロに移動して、みんなで食事をしました。ほぼ、コーチの秋葉(忠宏)さんが話していましたけどね(笑)。手倉森監督からは「人に起こる出来事は、起こるべくして起こる。そういうタイミングに人間は生かされている」という話がありました。僕自身もその考えにはすごく共感するところがありました。だからといって、帰国直後にインフルエンザになったのは、「タイミングとしてはおかしいだろう!」って思いましたけど(笑)。
――さらに世界の舞台で戦いたいという欲は増しましたか?
増えましたね。五輪もスウェーデンはベストメンバーではなかったですし、それこそブラジルと対戦して衝撃を受け、上には上がいることを知りました。また、そういう選手たちと試合がしたいとも思いましたね。キリンカップで初めてA代表に呼んでもらい、球際の強さは必要だと感じましたし、自分にとって必要なことが得られる環境に身を置きたい。これからも、より刺激があると思える場所を追い求めてやっていきたいです。
――五輪最終予選では力が発揮できなかったと言っていましたが、それから約半年が経ち、五輪では成長も感じられた。川崎で取り組んできたことが間違いではなかったと思えたのでは?
それはすごく感じましたね。予選はアジア勢ですが、五輪では南米、欧州、アフリカのチームと対戦して、全く違うパフォーマンスを見せることができた。半年でこれだけ自分が成長できるんだと実感できました。1年、1年、欲張って練習してきているつもりなので、それが段々と積み重なってきているのかなと思います。