幾度の「準優勝」が生きたマリー 経験値でつかんだ2度目のウィンブルドン
マリーが意識したラオニッチの特徴
グランドスラム決勝に初めてたどり着いたラオニッチ。若手選手の突き上げが目立ってきた 【写真:ロイター/アフロ】
ラオニッチにすれば、例えば錦織圭(日清食品)に楽天オープンの決勝で2度(2012年、14年)、全米オープン(14年)、デビスカップ(15年)など大事な試合で負けたことを踏まえて、オールラウンドへの転向を目指したのだろう。その流れの中で、全仏前には芝対策としてジョン・マッケンローを臨時コーチに招へいしている。ネット攻撃は反射動作で、常に意識が前へ前へと向いていた。
マリーはそこを十分に意識して戦っていた。平均時速201キロで確率64%というラオニッチのファーストサーブをとにかく返し、残り36%で反撃に出る。そうした絞り込んだ局面での神経戦になれば、やはり経験がモノを言うようだ。
誰よりも頂点に立つ難しさを知る男
ナダルの欠場、雨による日程の狂い、思いもしなかったジョコビッチの3回戦敗退を受けて心配された大会だったが、今年もウィンブルドンはテニスの未来を明確に示した。ジョコビッチを追ってきたマリーを、さらに新しい力が追いかけている。リオデジャネイロ五輪が行われている間にも、今年最後のグランドスラム、8月の全米オープンに向けて戦いは続けられる。
(文:武田薫)
「全米オープンテニス」
2016年最後のグランドスラム、全米オープンテニス。世界の頂点を目指す錦織圭の戦いなど、現地の感動と興奮を連日生中継でお伝えする。
2016年8月29日(月)〜9月12日(月)