いざ宝塚―強い4歳世代それぞれの成長 ドゥラメンテ・キタサン・シュヴァル

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新興勢力シュヴァルグラン『クラシックを諦めたことで』

 天皇賞・春で小差の3着だったシュヴァルグラン。素質馬ながら、昨年は前述の2頭と別路線を歩んだ。友道康夫調教師は昨春の状況をこう語る。

「期待をしていた馬なのですが、昨年1月の若駒Sを挫石で出走取消をしてから少し時間がかかってしまいました。順調ならば春のクラシックを、と思っていたのですが、最後の望みで出走した京都新聞杯も8着で、ダービーを諦めて放牧に出しました」

 約3か月半の充電期間を経て、休養明け初戦2着から3連勝をした。

「調教の動きから力をつけてきている感じを受けていたので、2400mなら力を出せるかなと思っていました。期待通り2400mで3連勝をしてくれました。これは結果論なんですが、休養明け初戦を勝たなかったことがよかったのかな、と思います。そこを勝っていたらやはり菊花賞へ、となっていたと思います。 1勝馬でも行こうと思えば行けましたが、佐々木主浩オーナーに相談して理解をしていただいたおかげもあり、自己条件を使えました。オーナーは牡馬クラシックにはあまり出走させていないので、行きたい気持ちは強かったと思います。しかし菊花賞は距離適性もですし、レース後の馬体へのダメージなども考えると余裕を持って挑みたいと思っていました」

宝塚記念の1週前追い切り時、調教では走らないタイプだったが変化が出てきたという(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

 GI出走のチャンスがあれば、関係者は出走させたいであろうし、クラシックとなれば尚更だろう。しかし、将来を見据えた決断がシュヴァルグランの素質をさらに開花させた。

「レースに行けばしっかり走るものの、調教では走らないタイプで、未勝利馬にも負けるくらいでした。ところが、今年の天皇賞・春くらいからこの馬なりに調教でも動くようになってきました。その天皇賞・春では初めての58kgと3200m、さらにあれだけのメンバーで3着ですから、負けはしましたが合格点です。展開の影響もありましたしね。 阪神大賞典を勝ち、天皇賞・春3着と、折り合いがつくので距離は持ちますがベストは2200m〜2400mだと思います。姉のヴィルシーナ(父ディープインパクト)は、早くから完成されていましたが、シュヴァルグランはまだ成長段階です。これがハーツクライの成長力なんでしょうね」

 クラシックを諦めたことが、古馬になって大きな花を咲かせる一助となるかもしれない。

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