悪夢の2年を経たヤクルト・村中恭兵 「一からつくった」フォームで自信あり
早く巡ってきた中継ぎのチャンス
「見た目はそんなに変わらないかもしれないですけど、全然違う投げ方だと思ってるんです。簡単に言うと今までは(体を)開いて投げていたのを、開かないようにしてるんですけど、体が開かなくなったことでボールの力強さだったり、キレが出てきたと思います」
オープン戦でも1軍に呼ばれることはなく、開幕は2軍。ところがチャンスは意外なほど、早く巡ってきた。3月27日、開幕3戦目にして1軍に合流。与えられたのは、これまでほとんど経験のなかったリリーフとしての役割だった。
「中継ぎはほとんどやったことがなかったんで、最初は『抑えられるかな?』っていう不安があったんですけど、最初の登板でバッターが真っすぐ(ストレート)を待ってるカウントで(ストレートを)詰まらせたんです。そこである程度『大丈夫かな』っていう感覚はつかめました」
一昨年まで1軍登板通算131試合のうち、救援は10試合だけ。リリーフに専念するのは初めてとあって、周りの投手の動きを観察し、救援として経験豊富な松岡健一や久古に話を聞きながら、徐々に調整法を学んでいった。5月28日の中日戦(ナゴヤドーム)では、同点の延長10回に5番手で登板して無失点で切り抜けると、直後に味方が勝ち越して660日ぶりの白星も手にした。
ブルペンから外せない存在に
それよりも、今はとにかく試合に投げたくて仕方がない。それも自分のボールに自信があるからだ。
「2ケタ勝った時も勢いだけみたいなところがあって、自分ではあんまり良かったとは思ってないんです。今の方がコントロールも安定してますし、変化球も自信を持って投げられてるので、たぶん今の方がいいと思います。真っすぐの質も、明らかに昔とは違います」
あと2試合投げれば、自身のシーズン最多登板(28試合=10年)に並ぶ。だが、先発として記録したこの数字は、今の村中にとってはあくまでも通過点。“どん底”を味わった男は、明日もあさってもその先も、出番があれば喜んでマウンドに上がるつもりだ。