聖地に消えた幻のトップフィニッシュ アメリカズカップ、ソフトバンクの挑戦
予備レースで初のトップフィニッシュ
初のトップフィニッシュが幻に終わり表彰台入りは果たせなかったが、チーム状態は向上している 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
スタートライン付近では6チーム中5チームがスタート時刻前に潮流で押し出されリコール(フライング)となり、その後も帆走というよりは流されているだけとレースの体をなしておらず、このレースはキャンセル(無効)となった。
この後、風速が上がるのを待ったが大会規定時間内には規定の風速にならず、同日のレースはすべてキャンセルとなった。
ところが規定時間を過ぎたところで安定した風が吹いたため、レース委員会は「予備レース(substitute race)」を開催。このレースでソフトバンク・チーム・ジャパンは好スタートを切り、レース最後まで他艇をリード。そのままトップでフィニッシュし、ワールドシリーズのレースとしては初めてのファーストフィニッシュを獲得した。
しかしこの予備レースは、大会を成立させるための暫定レース扱いとなっており、翌日の5月8日に本レースが開催されれば7日の結果は無効となってしまう。参加6チームのなかで唯一、トップフィニッシュがないソフトバンク・チーム・ジャパンだけに、予備レースの成立も期待されたが、5月8日は予報どおり強風ではあるものの、最大で20ノットとレース開催には十分のコンディション。残念ながらソフトバンク・チーム・ジャパンの初トップフィニッシュは幻に終わってしまった。
実はこの予備レースという設定も、「レース中継時間」という興行目的のためという側面がある。レース中継時間が優先され、レースに最適な風が吹いたときは中継時間外のため正式なレースが開催できないという結果に。ワールドシリーズ運営において大きな課題を残した。
表彰台はならずも、状態は上向き
このようなハードなコンディションのニューヨーク大会を制したのが、前大会を終えて総合成績1位のエミレーツ・チーム・ニュージーランド。ヘルムスマン(舵担当)のピーター・バーリングが語った「各レースをトップ3以内でフィニッシュする」チーム戦略が成功し、第1レースと第2レースを3位、第3レースは1位でフィニッシュと安定した成績。2位のオラクル・チーム・USAに2ポイント差で勝利した。
ソフトバンク・チーム・ジャパンは第1レースを5位、第2レースは4位と尻上がりに調子を上げ、第3レースは3位でフィニッシュ。今大会は3位と2ポイント差の4位という結果に終わった。残念ながら悲願の表彰台入りは果たせなかったが、幻とはいえ予備レースでのトップフィニッシュもあり、チーム状態は良くなってきているようだ。
次戦は6月11日から、同じくアメリカのシカゴで開催される。今大会はヨットレースを開催する上での問題点が露呈した形となったが、次回は安定したコンディションで各チームが実力を発揮できるレース開催に期待したい。
1位:エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)/52ポイント
2位:オラクル・チーム・USA(アメリカ)/50ポイント
3位:グルパマ・チームフランス(フランス)/44ポイント
4位:ソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)/42ポイント
5位:ランドローバー・BAR(イギリス)/42ポイント
6位:アルテミス・レーシング(スウェーデン)/40ポイント
※同点の場合、上位の回数が多いチームが上になる
■ワールドシリーズ総合成績(第5戦終了時点)
1位:エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)/244ポイント
2位:オラクル・チーム・USA(アメリカ)/236ポイント
3位:ランドローバー・BAR(イギリス)/227ポイント
4位:ソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)/203ポイント
5位:アルテミス・レーシング(スウェーデン)/201ポイント
6位:グルパマ・チームフランス(フランス)/194ポイント
(協力:ソフトバンク・チーム・ジャパン)