熊本地震が熊本の高校球児に及ぼした影響 延期の春季九州大会、調整必要な夏の大会
夜の余震は「みんな怖い」
「感謝に甘えず、ハツラツ挑戦して次に進んでいかなくてはいけない」と九州大会に臨んだ九州学院。初戦で佐賀商(佐賀)と対戦するも5対10で敗れた 【写真は共同】
熊本を中心に今も震度4〜5クラスの余震が多発している。鍛治舎監督は、「直下型の地震は地鳴りがする。車が近くを通っただけでも地鳴りで地震かと感じる時がある。ずぶといと思っている自分でもそう感じるのだから、子供たちはどれほど怖いか…」と話す。坂井監督も、「生徒は余震には慣れましたと言いますが、あれは強がっている部分もあると思います。みんな怖いんです」と感想を語った。
1年生の登録ができていない学校も…
学校側でも部活動以前に生徒の心のケアに時間を注いでいる。工木理事長が勤務する済々黌高では、午前中の授業をカットして全校集会や個人面談をしている。「私たちも不安な日々を過ごしています。何とか余震がおさまってほしい」と現状を語った。
夏は球場などギリギリまで調整
熊本大会では県営八代球場と山鹿市民球場も使用しており、藤崎台球場の状況次第では、開会式を県営八代球場で行う可能性も出てくる。ただし藤崎台球場は熊本の球児にとっては憧れの場所。昨夏の熊本大会を制した九州学院高の松野謙信主将(3年)は、「できれば、藤崎台で全校揃っての開会式で優勝旗を返還したい」と話した。
さらに県営八代球場と山鹿市民球場は主に熊本大会前半で使用することを想定して球場を予約しており、その後はほかの団体が使用する予定となっている、「各団体で球場の調整会議をしています。どの団体も球場を使いたいので、高校野球だけのために空けてほしいとは中々できない」と運営側も頭を悩ませる。7月10日開幕、25日決勝予定の会期を再検討する可能性もあるそうで、「ギリギリまで調整していきたい」と工木理事長は語った。
「今野球できることに感謝を」
「私は熊本県で審判をしています。熊本では野球をしたくてもできない子供たちがいっぱいいます。どうか、今野球ができていることを当たり前だとは思わないでほしい。野球ができることに感謝をして、全力でプレーをしてください」