過去10年のデータからNHKマイルCを占う メジャーエンブレムの巻き返しは濃厚!?

JRA-VANデータラボ

前走皐月賞出走馬の着差別成績(過去10年)

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて前走皐月賞組について見ていく。表3は前走皐月賞出走馬の着差別成績。その傾向は一目瞭然。皐月賞で勝ち馬と差がない競馬をしていた馬ほど巻き返す可能性が高いと言える。0.2秒差以内の善戦馬が出走してくるケースはほとんどないが、1.0秒以内であれば十分走破圏内。1.1秒以上離されているとやや厳しいと言えそうだ。

前走1着成績でNHKマイルCを好走した馬

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 NHKマイルCの好走馬の特徴として挙げられるのが表4に記したような馬。昨年2着のアルビアーノをはじめとして8頭が該当しているが、すべて前走1着だった馬だ。クラシックにつながる毎日杯のようなレースの勝ち馬は注目されやすく、同時に有力馬となる。しかし、中には当日二ケタ人気となるようなかなりの伏兵も含まれている。14年2着のタガノブルグは17番人気。09年3着のグランプリエンゼルは13番人気だった。ともに芝1400m以下の橘Sを勝っていた。

 東京芝1600mというコース適性上、マイルから中距離の実績馬が人気を集めやすい。だが、実際には短い距離を勝っていた馬も侮ることができない。ファルコンSを勝っていたインパルスヒーローなども、当日は6番人気とあまり人気はなかった。距離を問わず、前走オープン特別・重賞を勝っている馬は軽視しない方がいいだろう

今年のNHKマイルC出走予定馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

【結論】
 それでは今年のNHKマイルCを占っていくことにする。出走予定馬は表5の通りだ。

 まず、トライアルのNZT組を見ていく。表2で示した通り、今年の勝ちタイムは1分33秒9(良)。過去10年で比較すると速くもなければ、遅くもなく平均的なタイムだった。全く同じタイムだったのは07年。この年は、14着に敗れていたムラマサノヨートーが本番で激走した。となると、今回もNZTで外目の枠を引いていた馬の巻き返しを警戒したいところだが、出走予定馬を見渡すと軒並み内目の枠を引いていた。タイムが近かった09年が3着ジョーカプチーノが優勝しているので、今年も好走馬を完全に軽視するわけにはいかないが、そうなると選択肢が広くなりすぎて逆に難しくなる。

 ハッキリとした中心馬を探す意味で、別路線組に目を向ける。実際にはクラシック組のメジャーエンブレムやロードクエストに注目が集まるはずで、当日も人気を集めることだろう。ロードクエストは前走皐月賞が8着。勝ち馬との差は1.2秒差だった。今年の皐月賞は空前のハイレベルと言われており、今回のメンバーならば巻き返してくる可能性がありそうだが、データ上はあまり強気にはなれない。

 一方、メジャーエンブレムは桜花賞4着で勝ち馬とは0.4秒差。力を出し切れずに終わった不本意な内容であることは明らかなだけに、この敗戦は度外視すべきだろう。これまでの実績も十分。メジャーエンブレムの方が中心馬としてふさわしいと判断したい。

 あとは、前走ファルコンSを制したトウショウドラフタ。同じくマーガレットSを制しているティソーナ。いずれも当日はある程度人気は集めそうだが、傾向としてはこの両馬を推してみたい。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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