智弁学園を初優勝に導いた目標設定 部員の“まとまり”を強めたある言葉
考える野球で古豪復活果たした高松商
古豪復活を印象付けた高松商。「とにかく120パーセント強く振る」という強力なスイングと自分たちで考える野球で決勝まで勝ち上がった 【写真は共同】
実際このセンバツでも、「打てる気しかしない」という美濃らを筆頭に、鋭いスイングスピードから強い打球を飛ばし、俊敏に塁間を駆ける走塁は鮮烈で、準決勝までの4試合で33得点を挙げた。そして高松商高の場合、古豪からイメージされる規律と統制だけの野球では決してない。練習中から白い歯が絶えないし、なにより監督のサインに従うだけではなく、選手たちが考える野球がモットーなのだ。
香川県勢として12年ぶりの春勝利
荒内は言う。
「入学したときから、たとえば盗塁ならカウント、状況などを考えて走れ、とたたき込まれました。練習試合を重ねるうちに、変化球のカウントだな、とか、走るシチュエーションや空気というものが、わかるようになってきた」
決勝こそ、「今大会ナンバーワンでしょう」(長尾監督)という村上に対し、低めにボールになる変化球の見極めが徹底できなかったが、55年ぶりの決勝進出は評価していい。実は、野球が強いイメージのある香川県だが、センバツの勝利は12年ぶり。過去10年の甲子園に限るなら、春夏通算わずか2勝で、これはなんと47都道府県中最低だったのだ。
開幕戦で完封、決勝でサヨナラ打
「(監督からは)全試合行け、といわれていました。開幕戦のほうが緊張して、今日は決勝という感じがしませんでした」
村上を横目に、5試合完投を指示した小坂監督本人がしみじみと語る。
「開幕戦で完封して、最後は自分のサヨナラ打。なにか持っていましたね」