琴奨菊の優勝は稀勢の里のチャンス!? 元若の里・西岩親方の春場所展望

西尾克洋

先を越された稀勢の里に期待

同部屋の後輩で自信と同じ中卒たたき上げの稀勢の里、輝には強い期待を寄せる西岩親方 【スポーツナビ】

――横綱・大関陣に対抗する存在はどうでしょう? “怪物”と呼ばれた逸ノ城ですが最近は不振が目立ちます。

 このままだとあの勢いはまぐれだったのかなと言われてしまいますので、早く目を覚ましてほしいですね。最初は勢いがありますし、相手も取口が分からないので勝つこともあります。ただ、何場所も続けてやるとやっぱり実力があるものが勝つようになっているんですね。そういう意味では逸ノ城は実力の面ではまだまだ足りないのかなと思います。今までは勢いで番付を上げましたが、ここからは泥だらけになって汗を流して稽古して、死に物狂いでやらないといけません。

――部屋の後輩で、琴奨菊に先を越されてしまった大関・稀勢の里は?

 一番悔しいのは稀勢の里ですが、彼にはチャンスです。これで黙っているようじゃダメです。琴奨菊が稀勢の里の目を覚ましたんだと、数年後に言いたいです。(2011年に亡くなった先代、元隆の里の)鳴戸親方がいた時は泥だらけでまげの形もなくなるくらいやっていました。僕も先輩として厳しく稽古していました。もう一度、あのころのように、親方がいると思って稽古してほしいです。

 技術的には右の使い方です。稀勢の里は左の使い方はものすごくうまいですし、力もあります。右の使い方が成長すれば自然と一つ上が見えるでしょう。本人も分かっていると思うのですが……。

――若手で期待している力士はいますか?

 ひいき目もありますが、僕の付き人をやっていた輝に期待しています。1月場所、新入幕で負け越して3月場所は西十両4枚目に下がってしまいました。最近では少なくなりましたが、僕と同じ中卒たたき上げでずっと厳しい稽古に耐えて番付を上げてきた力士です。

 大卒も高卒も中卒も土俵に上がると違いはありません。ただ、15歳で入ると下積みを何年も経験します。考え方や気持ちの面で、下積みを経験した人は強さがあります。若い頃から泥だらけになって、血と汗と涙を流した力士にたたき上げの意地を見せてほしいです。そういう意味で輝には頑張ってもらいたいです。

最後の一番は思い残すことのないように

現役時代は21勝4敗と若の里(左)が大きく勝ち越した高見盛(右)との顔合わせ。果たして最後に勝ち名乗りを受けるのは? 【写真は共同】

――5月28日には西岩親方の引退相撲が行われます。元高見盛の振分親方と最後の一番を行うそうですが。

 ただ、まげを切るだけでなくて、何か皆さんに喜んでいただきたかったので、最後の一番を決めました。現役力士と当たるのは彼らに失礼なので、振分親方に話をしたら快く引き受けてくれました。

 彼と私は同じ1976年生まれ。私は青森県弘前市、彼は隣の板柳町で小学生の頃から相撲をした仲です。引退相撲にはたくさんの人が来るし、振分親方は人気があるので、パフォーマンスが復活すれば来たお客さんも喜ぶでしょう。

 国技館の土俵に上がるのも、大銀杏を結うのも、仕切りをするのも最後です。涙がこぼれると思いますが、見てくださる方に喜んでもらえる相撲にしたいですね。

――若の里と高見盛の対戦成績は、若の里の21勝4敗。26回目の対決、取口は?

 取口や決まり手は全く考えていません。最後の相撲なので、思い残すことが無いように取りたいですね。

元若の里、西岩親方プロフィール

本名・古川忍。1976年7月10日生まれ。青森県弘前市出身。中学卒業後に鳴戸部屋に入門。92年3月場所で初土俵、98年5月に新入幕。その後、2001年1月場所で関脇に昇進し、大関候補として期待されるが、度重なるけがに泣き、大関昇進はならなかった。幕内在位は87場所、歴代7位となる914勝を挙げた。西十両11枚目で迎えた15年7月場所で負け越すと、翌9月場所前に現役引退を表明し、年寄・西岩を襲名した。

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著者プロフィール

1980年鹿児島県生まれ。日本大学を卒業後、IT関連企業でエンジニアとして活動する傍らで2011年よりスポーツナビブログ『幕下相撲の知られざる世界』を開始。静岡新聞では浜松巡業特別号のコラムを執筆し、「大相撲ぴあ」ではインタビュー記事を担当するなど、大相撲を中心にライターとして活動を展開している。

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