福原と石川の「フォー・ザ・チーム」 出会いから10年目の世界卓球団体戦

月刊『卓球王国』

2人はどんなストーリーを紡ぐのか

福原と石川がタッグを組めば、日本はより大きな壁を破ることができる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 ベンチで応援に声を枯らしても、圧倒的な実力差は埋められない。それも1つの真理ではある。しかし、あの最強軍団・中国でさえ、団体戦になるとチームメートが得点するたび、ベンチの選手たちが立ち上がって声援を送る。周囲から追われる立場で、大きなプレッシャーを浴びる団体戦を戦う厳しさを、誰よりも知っているからだ。中国では団体戦でのプレーが最も重視され、団体戦で勝負弱い選手は評価されない。団体戦には、団体戦の戦い方がある。

 14年東京大会では福原、15年アジア選手権では石川を故障で欠きながら、決勝へ進出した日本女子。主力不在のピンチをチャンスに変え、より強固なチームワークを発揮してきたが、福原と石川がタッグを組めば、日本女子はより大きな壁を破ることができる。日本卓球界の「ブレイクスルー(革新)」となった、ロンドン五輪での女子団体銀メダルのように。

 今回の世界選手権団体戦では、15歳の伊藤美誠(スターツSC/昇陽中)と17歳の浜本由惟(JOCエリートアカデミー/大原学園)という若い力もチームに加わる。

「若い選手たちの思い切ったプレーを見ていると、自分ももっと思い切ってプレーしたほうがいいんだなと感じる」(福原)

「年下の選手たちがすごく楽しそうにプレーしているのを見て、昔の自分を思い出した。初心に戻って、ワクワクしながら試合に入りたいと思ったんです」(石川)。

 若い選手たちに刺激され、天才少女として思う存分暴れた頃のプレーが2人に戻ってくれば、チームはますます勢いを増す。ベンチでは、チームメートたちが熱烈な声援を送る。いつも消え入るような声で物静かに喋る浜本でさえ、ベンチでは大きい声援を送ることを誓っているのだ。

2人はこの世界選手権でどんなストーリーを紡ぐのか。この大会での結果がリオ五輪にもつながってくるはずだ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「世界選手権の団体戦は、私の1番好きな大会。シングルスだと心が折れそうになる瞬間もあるけど、団体戦だとそれがほとんどない。いつもより思い切ってプレーできるし、振り返るとベンチにみんながいるというのはすごく大きいです」(福原)

 出会いから10年目の2016年。福原愛と石川佳純は世界選手権団体戦で、どんなストーリーを紡ぐのか。リオ五輪の「前座」という意識は全くない。目の前の世界選手権団体戦で、目の前の一戦にベストを尽くし、チームの勝利のために戦う。その結果が、必ず8月のリオ五輪にもつながっていくはずだ。

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