羽生、フェルナンデスに続くのは誰か!? 幕を開けた「300点超え時代」
チャンがFS歴代2位の得点をマーク
四大陸選手権でチャン(右)はFS歴代2位の得点をマーク。25歳になってもまだまだ進化を続けている 【坂本清】
こうなると、チャンも黙ってはいられない。「4回転は1本で十分」と言っていた宣言を撤回し、「FSで4回転2本、トリプルアクセル2本」という、彼にとって大技を2つ増やす構成に変更したのだ。
迎えた2月の四大陸選手権のFS。チャンは覚醒的な演技を見せた。冒頭の「4回転トウループ+3回転トウループ」、「トリプルアクセル」、「4回転トウループ」すべてが空を舞うかのような、雄大な飛躍。全部のジャンプをクリーンに成功し、さらに基礎力に支えられたなめらかな滑りで、ショパンの名曲を奏でる。技術点106.85点、演技構成点97.14点で、合計203.99点。羽生に次ぐ、FSの歴代2位記録となった。
「自分はこのレベルの技術と演技ができるという自信になった。あとはボストンの世界選手権で、やるべき仕事をやるだけ。25歳になっても、まだまだ進化していけると感じている」とチャン。若々しい笑顔を見せた。
焦点は「何で高得点を稼ぐか」
羽生とフェルナンデスが300点超えを果たしたプログラムは、ともに4回転を「SPで2本、FSで3本」という構成。SPで100点超え、FSで200点超えを出すためには、これが1つの羅針盤になるだろう。
あとは各選手ごとに「自分の長所を生かし、何で高得点を稼ぐか」が焦点になる。具体的に、方向性は3つ。(1)難しい4回転を増やし技術の得点を上げること、(2)技の質を上げてGOEの加点を伸ばすこと、(3)滑りや表現を磨いてPCSを伸ばすこと、だ。
チャンであれば、4回転は「SPで1本、FSで2本」の構成で、GOEの加点や演技構成を伸ばすことになるだろう。金博洋ならば、4回転ルッツを武器にさらに技術の得点を伸ばし、演技構成点で及ばない部分を補うことができる。
4回転ループを練習では降りている宇野も、ジャンプ構成の工夫次第では300点超えを視野に入れることができる 【坂本清】
いずれにしても「300点超え時代」の幕は開けた。「ミスなく滑る」時代から、「超難しい4回転を入れて、かつ、ミスなく滑る」という時代へ。これを負担と感じるか、夢冒険と感じるかは、選手の闘争心にかかっている。