「控えの一番手」となっている酒井高徳 後半戦開幕のバイエルン戦ベンチの意味
シーズン後半戦のスタートをベンチで迎えた酒井
シーズン前半戦の終盤は、極めてポジティブなものだった。このハンブルガーSV(HSV)の日本人DFは、負傷していたデニス・ディークマイアーに代わって右サイドでプレーし、堅調なパフォーマンスを披露した。シーズン後半戦も、酒井はポジション争いのライバルを上回っていけるのか。このブンデスリーガ創設時のメンバーであるクラブを追う多くのジャーナリストが、とても興味深く捉え、かつ頭を悩ませている疑問だ。
さあ、ここではその難問に取り組んでみよう。
ブンデスリーガ最多優勝記録を持つ昨季王者のバイエルン・ミュンヘンは、1月22日(現地時間)シーズン後半戦のスタートとなるリーグ第18節に、ハンブルクへと乗り込んできた。第18節初日に唯一行われるこの試合は、ドイツ中がテレビの前で生放送を楽しみ、HSVとその選手たちにとっても特別な舞台だった。だが、酒井はその試合を、ベンチから眺めるほかなかった。
残念ながら、24歳の日本代表DFにとっては、見慣れた光景だった。シュツットガルトからやって来たサイドバック(SB)にとって、これがエルベ川を臨む街で迎える最初のシーズンである。かつての師であるブルーノ・ラッバディア監督は、「バーゲン価格だった」との賛辞を受けることを予想してこのDFを獲得したのだろう。酒井にとっての新天地でのスタートは、希望に満ちたものになることが約束されているはずだった。確かに、酒井はHSVの今シーズン初の公式戦に先発した。そして、舞台は暗転した。
日本代表のプレーが及ぼす影響
ラッバディア監督は、けじめを取らせた。カップ戦での今季公式戦初戦を落とした後、バイエルンとの開幕戦では4人の選手がベンチに下げられた。その中の一人が、酒井だった。その後、復帰への道はなかなか開かれなかった。
つまずきは、酒井本人の自信にも影響を及ぼした。10月3日のベルリンでの第8節ヘルタBSC戦では、後半からピッチに立つことを許された。だが、それでも指揮官を納得させることはできなかった。
「まだ彼はクラブでの居場所を見つけられていない」とHSVを追い続けているフリーのジャーナリスト、ヘンドリク・ブフハイスターは話す。ラッバディア監督は最終ラインでディークマイアーを右サイドで、マティアス・オストルツォレクを左サイドで起用している。酒井は試合の様子を見守ることしかできなかった。プレーを許されたのは、日本代表でのみだったのだ。
「祝福であり、呪いだね」と説くのは、大手サッカーサイト『GOAL』のHSV番であるダニエル・ヨバノフだ。
「日本代表へ合流することは、彼にとって常に問題でもあった。ずっとチームにいて、ポジション争いをすることができなかったのだからね」。酒井は日本代表の一員としてわずかな練習時間を得ることができたかもしれないが、同時にハンブルクで仕事をする時間を大量に失っていたのだ。特に守備陣の一員にとっては、オートマティズムを手にするために貴重な時間だった。疲労を伴う遠征自体もまた、酒井にとっての問題となった。
ディークマイアーは納得のプレーを見せており、HSVのシーズン前半戦において最も安定感のある選手だった。つまり酒井は、我慢してチャンスを待つことを強いられた。「どうしてオストルツォレクの代わりに、左サイドでプレーすることを許されなかったのか。理解できないよ」と話すのは、地元紙『ハンブルガー・アベントブラット』のカイ・シラー記者だ。左サイドでプレーする酒井を見たかったと思っているファンは多いはずだ。