内山高志、井上尚弥らが米国進出へ 日本ボクシング界、転機の1年になるか!?
井上は“ロマゴン”との頂上決戦も
年末に完全復活をアピールした井上尚弥は、現役最強王者“ロマゴン”との戦いも期待される 【写真:ロイター/アフロ】
大橋秀行・大橋ジム会長のプランでは、今春に国内での防衛戦を行い、それ以降に米国進出のタイミングを探る予定。一方のゴンサレスは、米国のボクシングサイト『ボクシング・シーン』に対し、次のWBC世界フライ級王座4度目の防衛戦後、9月にもラスベガスでカルロス・クアドラス(メキシコ)のWBC世界スーパーフライ級王座に挑戦するとコメントを残している。つまり、井上と同じ階級に上げてくるかもしれないということになる。ライバル同士を同じ興行に出場させ、対戦ムードを盛り上げる手法は海外ではよく見られる。井上の米国デビューがこのタイミングになるなら期待はいっそう高まるが、日本の帝拳ジムがプロモートしているゴンサレスとクアドラスの対戦にしても公式の発表ではなく、今後の動向を見守るほかない。
階級をスーパーフライ級に上げてからの井上のパフォーマンスはまさに圧巻の一言。年内にも顔見せとなる米国初戦を実現し、圧倒的なスピード、パワーで存在を強烈に印象づければ、そう遠くない将来に米国でゴンサレスとの一戦が実現する可能性は高まるはずである。そうなれば、軽量級という枠を超えたスーパーファイトとして、これまで日本人ボクサーが経験したこともないような脚光を浴びるのは間違いないだろう。大いなる可能性を秘めた恐るべき才能は23歳になる今年、新たな一歩を刻むことができるか。注目である。
村田は商品価値を証明する1年に
村田諒太の米国初進出は判定勝利に終わり不完全燃焼だった。16年はその商品価値を再び証明する1年になる 【写真:ロイター/アフロ】
WBC4位を筆頭に、世界4団体でランクインしている村田が挑むミドル級は強豪がひしめき、ビッグマネーが動く。挑戦者に抜てきされることすらも、難しい階級である。現在はWBA“スーパー”、WBC暫定、IBFのベルトを巻き、WBA王座は15連続KO防衛中のゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が中心。WBC“レギュラー”王者のサウル・アルバレスとの対戦は今年、最も実現が期待されるビッグマッチでもあるのだ。道のりは険しいが、それだけに日本におけるボクシングのステータスを劇的に変えうる存在として村田にかかる期待は大きい。
今回、村田が参戦するのは五輪2大会連続ライトフライ級金メダルのゾウ・シミン(中国)がメインに登場し、米国の大手プロモーション会社・トップランクが中国本土で初めて開催する重要なビッグイベントになる。「少々のリスクを冒してでも倒しにいく。村田が挑戦したら面白いと思わせないといけない」と決意を新たにする村田にとっては再度の米国リング登場を含め、商品価値を証明する1年になる。
小原佳太もビッグマッチに挑む可能性も
小原佳太(右)は不運引き分けから再戦が決定。この1戦に勝てば、次の扉が開かれる 【写真は共同】
この一戦に勝てば、小原には世界挑戦の道が開けることになる。やや遠回りを強いられた、とも取れるのだが、小原も三迫貴志・三迫ジム会長も前向きに捉えている。ターゲットとなるIBF王座は同じ11月、ロシアでセサール・クエンカ(アルゼンチン)からエデュアルド・トロヤノフスキー(ロシア)に移動したが、再戦になる可能性もあり、待たされたかもしれないこと、その間に米国で試合経験を重ね、さらに名前を売ることができるからだ。
WBAには4階級制覇の“悪童”エイドリアン・ブローナー(米)、WBOにはスター候補のテレンス・クロフォード(米)、WBCにはロサンゼルスで名伯楽フレディ・ローチに師事しているビクトル・ポストル(ウクライナ)と、群雄割拠のスーパーライト級の中心地は米国になる。少しでも本場の耳目に触れておくことが、後々のキャリアの布石になるかもしれないのだ。再びの挑戦者決定戦を勝ち抜き、頂点にたどり着けば、小原の存在は大きくクローズアップされてくるはずである。