富士山女子駅伝から東京五輪へ――原石たちがつなぐたすきのドラマ[1]

中尾義理
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提供:フジテレビジョン

愛媛からの挑戦

10月の全日本大学女子駅伝で3位に入った松山大学。愛媛から全国へ、着実に成績を伸ばしてきた 【写真は共同】

 箱根駅伝の人気を背景に有力高校生が関東の大学に集中する男子と異なり、女子では地方からの挑戦も目を引く。

 近年台頭してきたのは愛媛県の松山大だ。陸上競技部の卒業生に土佐礼子さん(世界陸上女子マラソン01年2位&07年3位)がいるが、現在の女子駅伝部は08年に創部した。同年、全日本大学女子駅伝に初出場して18位。他の運動クラブの選手に助っ人を頼んでつないだたすきだった。15年は3位に入賞し、6年連続でシード権を獲得している。

 今季の松山大のメンバーを見ると、高校時代に全国レベルで名前が売れた選手はいない。それが全国3位の駅伝チームに育ち、個人でも上原明悠美(3年)がユニバーシアード女子ハーフマラソンで銅メダルを獲得、高見澤安珠(2年)が女子3000メートルSC(障害)で日本選手権を制覇し、9月の海外レースで9分53秒72の学生新記録を樹立している。

 関東や関西の大学に比べ、学生が集まりやすいキャンパス立地とは言えないが、中四国、九州、近畿、東海、関東から新入生を迎えている。愛媛から全国へ。大西崇仁監督のもと、チャレンジを一歩ずつ実らせていくことは、歩みがいのある道のりであるに違いない。

駅伝を世界へのきっかけに

男子では世界についていけない要因を駅伝偏重に求める声もある。しかし駅伝は長距離競技に対するモチベーションを高める効果的な方法だ。15年は学生時代に箱根駅伝で脚光を浴びた社会人選手が、男子5000メートルと1万メートルの日本記録更新に成功した。

 男子に「箱根から世界へ」という意識があるのと同様に、女子が世界を意識するきっかけが富士山女子駅伝から生まれてもいい。女子の歴史を動かす誰かが、大学女子駅伝で走っていたあの選手だと話題になる日が来るのも遠くないと予感している。


「SUZUKIスポーツスペシャル 2015富士山女子駅伝」
12月30日(水)あさ9時50分〜 フジテレビ系列全国ネット生中継

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著者プロフィール

愛媛県出身。地方紙記者を4年務めた後、フリー記者。中学から大学まで競技した陸上競技をはじめスポーツ、アウトドア、旅紀行をテーマに取材・執筆する。

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