圧勝Vの羽生「世界中から力もらった」 NHK杯男子メダリスト会見
羽生「もっと難しい、質の高い4回転を目指す」
4回転ジャンプに関した質問で持論を展開する羽生 【坂本清】
羽生 僕はボーヤン選手のように、ルッツは安定していないです。1回まぐれで下りたことはありますけど。ただ、まだ彼のようなクオリティーでルッツもループも跳ぶことはできません。そして、アクセルも本当に数回チャレンジしてみて、まだ着氷することも、回転することもできていません。
じゃあ、将来的にどれくらい必要なのかと言われたら、僕もそれは分かりません。実際に五輪の記憶が定かではないですが、時代というのは五輪ごとに変わっていく気がしていて、特に僕の印象に残っている五輪はソルトレイクシティ五輪なんですけど、その大会では半分以上かな、10位以上の選手たちはクオリティーの高い4回転を跳んでいましたし、また逆にバンクーバー五輪では4回転を跳ばないエバン・ライサチェク選手が優勝しました。
ソルトレイクもトリノもバンクーバーも、何が間違いで何が正解かと言われれば、僕はすべてが正解だと思っています。もちろんバンクーバーのときは、いろいろな方々が4回転を跳ばなくてもいいのかと、本当にライサチェク選手が優勝でいいのかと、本当に世界のフィギュア界で議論がありましたけど、実際にそうした議論になって正解もしっかり出たわけでもない中で、僕たちはソチ五輪でほぼ半数の選手たちが4回転に挑んで、戦ってきました。
実際にすべての選手が4回転に挑んだというのを聞いて、正直、僕はびっくりしています。ただ4回転を跳べばいいか、というとそれだけはなくて、きれいに下りなければいけない。きれいに下りることで点数がもらえる。トリプルアクセルの基礎点と4回転の基礎点は2点以上は違いません。これはトリプルアクセルをきれいに跳んでGOEを2〜3点取った場合、4回転以上の点数がもらえます。はっきり言ってしまうと、バンクーバー五輪のように、すべてのジャンプでGOE3点以上をもらえば、4回転を跳ばなくても勝てる、そういったルールだと僕は思います。
それでも僕は今回のショートを含め、4回転に5回挑んできたのは、4回転を跳んで、さらに難しい入り方、下り方をして、それに加えてトリプルアクセルという4回転に一番近い3回転ジャンプを、4回転のような点数がもらえるようなクオリティーで跳ぶというのが僕の一番の武器だと思うし、またこれから先もきっといろいろな選手が出てきます。今回感じたのは、ボーヤン選手はジュニアから上がってきて間もないですけど、それでもショートとフリーで4回転を後半に入れて、素晴らしい演技をしました。これはスケート界の将来を見ているような気もしますし、ただこれだけが正解じゃないし、僕自身もできることをすべて出し切って、もっともっと難しい4回転、質の高い4回転を目指して頑張りたいと思います。
金博洋 フリーに関しては今日と同じ4つ跳べれば十分だと思っています。それよりも自分の表現能力とかに磨きをかけていければ、4つ跳べれば十分だと思います。シニアになってからは初めてのシーズンですが、特に今日の後半に滑った選手たちからは学ぶべき点が多かったので、まずはそれをきちんと学ばせてもらって、ジャンプについてはそういう考えでいます。
無良 ちょっと短めに話します(笑)。どれくらい必要かというと、その年の五輪によって変わってくると思いますし、確実に言えるのは彼(金博洋)がルッツを成功させたことが起爆剤となって、皆が成功させてくるという流れが生まれるんじゃないかという気がしますし、あと3年という間にもしかしたらフリップを跳ぶ選手が生まれてくるかもしれませんし、アクセルを跳ぶ選手が出てくるかもしれない。1年1年目まぐるしく変わってくる可能性もありますし、それに自分も付いていけるようにしたいです。やっぱり自分も4回転アクセルを跳んでみたいと思っています。
羽生 話が長くて本当に申し訳なかったです(笑)。