羽生、構成変更は「圧倒的に強くなるため」 NHK杯男子SPトップ3会見

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羽生、金博洋を「研究させていただいています」

羽生から「研究させていただいています」と言われた金博洋は「光栄」と照れた 【坂本清】

――金選手はあこがれてきた羽生選手とシニアの試合で滑ることになりましたが、その気持ちを羽生選手と金選手にお聞きしたい。

羽生 正直、謝謝。ありがとうございますという気持ちと、あとは最近ジュニアから上がってくる選手がたくさんいますし、日本の宇野昌磨選手をはじめ、たくさん素晴らしい選手が上がってきて、実際、年寄扱いされているんですけど、僕、まだ20歳なんですよね。僕は、無良選手と戦っているのとあまり変わらないかな、という気持ちです。僕自身、無良選手と戦うときに、先輩だからという気持ちは絶対ないですし、絶対に勝ってやろうと思っていますし、そういう気持ちで彼(金選手)も臨んでいると思うので、僕自身も年下だからという気持ちは全然ないですし、むしろやっとシニアの舞台に来てくれたといううれしい気持ちと、僕自身もまだルッツを試合に組み込めるまでできていないし、ループも試合に組み込めるほど確率が上がっていないので、研究させていただいています、と伝えたいです。

金博洋 羽生選手や好きだった選手へのイメージの変化はあまりないです。今日のSPの中で、平常心ということを心掛けて滑った結果、95点を超える得点を得ることができたと自分では思っています。ですので、明日のフリーも平常心を大事にして、一生懸命滑れればいいと思っています。また、先ほど、羽生選手が僕のことを褒めてくれて本当に光栄に思っています。頑張ります。

――羽生選手と無良選手への質問。1998年の長野五輪の時、2人は小さかったと思いますが、その時のことを何か覚えていますか?

羽生 単純に計算すると4歳ですけど、たぶんまだスケートを始めていないです。スケートを見ていたという思い出もまったくなく、長野五輪も全然覚えていないです。でも、スケートを始めたきっかけという意味で考えれば、ちょうど始めたリンクの先輩方である4名の選手が五輪で活躍されましたし、僕自身、家族もそのリンクに行こうというきっかけになりましたし、それが無ければスケートを始めてなかったかなと思います。

無良 父がコーチをやっていることで、すごく身近にスケートがあり、2歳くらいからスケートを始めたのですが、その中で当時、新松戸のダイエーのリンクでダイエーカップというのが毎年あり、その試合に出始めて2年目だったと思うのですが、その当時、本田武史先生だったり、田村岳斗先生だったり、1年に1度試合をしに来る方が五輪に出ているというのを見て、本田先生は4回転をバンバン飛んでいましたし、その印象がすごく自分の中でもあって、その影響があるから、今こうやって大きいジャンプを跳びたいというきっかけになったのかな、と思います。

「4回転を2回跳んで失うものは何もない」

4回転2回入れることで失うものはないか?と問われた無良は「自分ができる最大限のものをやるというのが試合」と、それによって失われるものはないという見解を示した 【坂本清】

――羽生選手と無良選手に。今大会12名中、4回転を2回跳ぶ選手が増えました。このままこのスポーツはそういう方向に行くのか、その中で犠牲にするものがあると思いますか?

羽生 4回転をSPに2回入れるということに関して言えば、できる選手もいれば、できない選手もいる。それは選手それぞれの個性ですし、それが絶対必要かと言われれば、絶対ではないと思います。今のルールだと2回入れるのが精いっぱいじゃないですか。アクセル飛ぶ人がいるかどうか分からないですけども、今のルールの中では現実的に4回転を2回入れるという内容が最高のものであって、それプラス、ステップ・スピンがあって、つなぎの部分であったり、表現の部分であったり、そういうものがあるんですけども、逆に、3回転を組み込んで、無良選手のように4回転1回で、3回転+3回転があったり、4回転+3回転があったり、トリプルアクセルを跳ぶ。これで勝てないかと言われたらそうでもないと思うんですよね。事実、僕は4回転1回の構成で、もちろん後半にアクセルとルッツを入れていましたが、表現・スピン・ステップで加点を取って、100点を超えることができました。そう考えると絶対に4回転が2回必要かと言われたら、必要ではないと思います。

 4回転を2回によって失うものに関しては何もないと思います。それも選手それぞれの個性だと思いますし、言ってみれば、4回転を2回跳んで、トリプルを、4回転を跳ばない選手のように表現して、奇麗にジャンプを跳んで、ステップもスピンも全部加点をもらえるようなプログラムをやれば、誰も勝てないわけなので、僕たちはそれを目指すしかないと思います。だから、失うものは何もない。

無良 98年の話が出たと思うのですが、あの当時から02年のソルトレイクシティ五輪の世代というのは4回転を2種類跳ぶのが当たり前の時代であったことは確かですし、ただ、その当時はスピンのレベルだったり、ステップだったり、トランジションの部分に関して、明確に点数が無かったというのが前提ですが。もちろん、先ほどユヅ(羽生)が言ったように、それぞれの個性、金博洋選手のように、4回転を数種類跳べるというのも個性ですし、今回は出ていないですが、ジェイソン(・ブラウン)のように4回転があまり得意ではないけど、しっかりと加点をもらえるトリプルを跳んで表彰台を狙っている選手もいて、それもそれぞれの個性だと思います。4回転を何種類も跳んでプログラムのレベルがすごく、そのコンポーネンツが高いというのは最強ですが、やはりそれを兼ね備えるのは相当難しいと思うので、その中で自分ができる最大限のものをやるというのが試合なのかな、というのが僕の考えです。

羽生「まだまだこれがゴールではない」

――羽生選手、プログラムのジャンプ構成を変えるときに、オーサーコーチは「もっとコンサバティブな変更にしようと思っていたけど、ユヅが野心的だった」と言っていたのですが、自分の野心を通そうと思った理由と、オーサーコーチとの議論の中で、どうやって説得したのか?

羽生 何て言ったか覚えていないんですが、もちろんブライアンと相談しましたし、トレーシーとも相談しましたし、その前に家族とも相談しました。選択肢として、昨年の事故のあとと同様に、4回転を最初に跳んで、そのあとアクセルをやって締めればいいというのも選択肢として無くはなかったです。ただ、実際にそれをやって得られるものは何かと考えたときに、結局、昨年練習していて、それで事故が起きて、難易度を落として、それでもノーミスでいけなくて、それがただできるだけ。それだけでは、それは成長とは言えないし、僕にとっての成長はそんな幅では絶対ダメだと。成長したいという意味も込めて、やりたいと思いましたし、

 また、いつかは4回転2回をSPに入れないと勝てないと思いました。自分のプログラムの中では4回転を2回入れてしっかり加点をもらえる入り方、下り方をして、その上でステップ・スピン・表現力、いろんなところで全神経を使いながら滑りきる、それが確実に平昌五輪までに必要になってくるし、現五輪王者として、そこは連覇するためにも圧倒的に強くならないと、と思っています。まだまだこれがゴールではないです。これ以上、また挑戦しながら頑張りたいなと思っています。ブライアンに言ったことは、とにかく「やります」って言いました。「できるのか?」とかは言われなかったです。「やります」と言って、やりました。

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