“ミスタープロレス”天龍がオカダ戦で引退 諏訪魔と藤田が初遭遇も遺恨は消えず

高木裕美

諏訪魔vs.藤田は決着がつかず……

諏訪魔(右)と藤田和之の初遭遇は、不穏な空気のみを残す結果となった 【横田修平】

 一方、セミファイナルでついに実現した諏訪魔と藤田和之の初遭遇は、遺恨の炎をくすぶらせたまま、不穏な空気のみを残す結果となった。

 諏訪魔は藤田との対戦実現を見据え、5.5IGF大阪大会に来場。翌日の5.6全日本・後楽園大会へ招待したが、藤田がこれをボイコット。両団体は絶縁となっていたものの、天龍プロジェクトという第三のリングで対戦実現の運びとなった。

 諏訪魔は岡林裕二と、藤田は関本大介と組んでタッグで対戦。入場直後から激しくにらみ合うと、試合開始のゴングが鳴っても、視線をかわしたまま動かず。その後も試合そっちのけで諏訪魔がコーナーの藤田を挑発するなど、一触即発の状態が続く。藤田はパートナーの関本のピンチにも、救出に入るどころか岡林にコブラツイストを仕掛けて諏訪魔を挑発してみせ、諏訪魔もこれに呼応して関本にコブラツイスト。さらには場外へ飛び出して乱闘を繰り広げ、藤田がテーブルで右手人差し指を切るアクシデントに見舞われる。

 10分過ぎ、ようやくリング上で戦う機会を得ると、藤田が諏訪魔にスリーパー、コブラツイスト、ジャーマンスープレックス。諏訪魔がダブルチョップ連打から串刺しラリアット、スロイダー。大日本コンビの熱い戦いに負けじと、技の応酬で意地を張り合う。諏訪魔が藤田をバックドロップで動けなくする間に、岡林がゴーレムスプラッシュで関本に勝利。だが、試合の決着がついても、諏訪魔と藤田の気持ちは収まらず、なおもエルボーでやり合った。

諏訪魔は再戦を拒否

年末の再戦を訴える藤田(左)に対し、諏訪魔は「オレはオレのプロレスを追求したい」と拒否 【横田修平】

 試合後、藤田は観客からのブーイングや「大日本」コールにもめげず、「諏訪魔、分かってるよな。オレは年末が楽しみで楽しみでしょうがないんだよ」と年末の格闘技イベントでの再戦を呼びかける。しかし、諏訪魔は「オレはおまえが考える総合のリングに上がるつもりは無い。オレは天龍さんみたいな熱い試合がしたい」とこれを拒否した。

 諏訪魔の煮え切らない態度に、藤田は「あいつはかまぼこだ。煮ても焼いても食えねえよ。都合のいいように、逃げ込んでばかりだろ。終わらせてほしかったら、怖いですってはっきり言えよ。話になんねえよ」とバッサリ。

 一方、諏訪魔は「いや、話になんない。その一言に尽きる。オレはいかに純粋に、リングで熱い試合ができるかを求めてる。もっと、スイングすると思っていたけど、スイングしなかった」と藤田との戦いにズレを感じた様子で、年末の対戦の可能性についても「オレはオレのプロレスを追求したい」と、キッパリと拒絶した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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