秋盾快勝ラブリーデイ 7つ目の標的はJC 充実の秘密は父譲りのマッチョ化にあり

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トモ(後肢)がキングカメハメハのよう

最後の直線は「追い出しを待った」くらいの手応え、他馬を寄せ付けない完勝だった(ラブリーデイは青帽) 【写真:中原義史】

「すごくたくましく成長して、強くなっているなと感じました」

 皐月賞15着以来、2度目の騎乗となった浜中が2年半ぶりのラブリーデイの感触をそう振り返った。特に感じた成長の部分は「精神面が大きい」とも言っている。

 一方、池江調教師は、この急激な成長の要因はどこにあると分析しているのだろうか。

「肉体的な部分ですね。筋肉の量がすごく増えている。トモ(後肢)のあたりはキングカメハメハのようになってきました。それに今日のパドックを見て感じたことは、肩周りにもだいぶ筋肉がついてきました」

 確かに馬体重の数字を見ても、3歳時は470キロ前後だったが、昨年の4歳時は480キロ前後となり、今年に入ると480キロ台後半から490キロ台の前半を推移している。数字の上でも筋肉量の増加、いわゆるマッチョ化が分かるというもので、この馬体の成長に加えて、浜中が言うところの「精神面の成長」も上乗せされるのだから、他の追随を許さない今の充実ぶりも十分すぎるくらいの納得がいく。

 また、年明けの中山金杯から始まり今年はこの天皇賞・秋で8戦を消化。池江調教師が「クレイジーなローテーションと言われています(笑)」と冗談まじりに語るくらい、最近のトップホースとしては珍しくレース数を使われているが、「馬がとにかく丈夫ですね。これだけのローテーション、調教をこなしてくれるんですから、体質の強さもこの馬が持つ大きな強みの1つだと思います」と胸を張る。

 これらのことを考えると、「2番手でも問題なかったし、むしろ引っ掛からなくてすごくいい形で運べたと思ったんだけど、うーん……これが“GIの壁”なのかなぁ」と、首をひねりながら敗戦を語った武豊エイシンヒカリとは、単勝オッズの差は90円だったが、真の完成度・充実度という点からはそれ以上の大きな開きが、現時点ではあったのだろう。

「日本馬が強いところを示したい」

次走はジャパンカップを予定、総大将として日本馬の強さをアピールしてほしい 【写真:中原義史】

 さあ、ここまで来ると今のラブリーデイはもう“勢い”とか“充実”とかいう言葉だけでは済まされない存在となったのも事実だ。今後は名実ともに現役最強馬として、日本競馬の看板となる走りを見せてほしい。池江調教師は次走に関して、次のように明言している。

「次はジャパンカップ(11月29日、東京競馬場2400メートル芝)を予定しています。ヨーロッパでは、今年の日本馬は弱いという噂が流れているらしいので、今年も日本馬は強いんだというところを示したいですね」

 日本馬は2010年から昨年まで5年連続で凱旋門賞に出走し、うち2着が3回。ところが今年は出走そのものが途切れてしまい、また春先のドバイでもジェンティルドンナやジャスタウェイが鮮烈な勝利を飾った2014年と比べると、好結果は出なかった。世界の競馬シーンという広い視点からすれば、池江調教師が言うように今年の日本馬は“弱い”のだろう。

 しかし、ジャパンカップまでも外国馬に持っていかれるわけにはいかない。ホームという最大の利があるにせよ、06年ディープインパクトから続く日本馬のJC連続勝利を途切れさせるわけにはいかないのだ。

 そして、今のラブリーデイならば日本馬の総大将として、天皇賞・秋以上の競馬を見せてくれるに違いない。「ジャパンカップでも期待に応えてくれると思います」という浜中の言葉、さらに池江調教師が語った「まだまだ先があるのでそんなに仕上げてはいないです。秋2戦目としては上々でしたね」という言葉のなんと頼もしいことか。今年7つ目の重賞タイトルにして3つ目のGIタイトルは、もうすでに射程距離にとらえているようだ。

 なお、今回浜中は騎乗停止中の川田将雅に替わっての騎乗だったが、池江調教師によればジャパンカップでの鞍上は「全くの未定」とのことだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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