ジョーンズHC「日本ラグビーを変えた」 日本代表W杯大会総括、帰国記者会見

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ヒースロー空港から飛び立つまで、人生で一番おいしいお酒をたらふく飲んだという大野均 【スポーツナビ】

■大野均「人生で一番おいしいお酒をたらふく飲んだ」

 W杯でここにいる31人全員が、誇りに思えるパフォーマンスを残すことができて、本当にうれしく思っています。昨日の試合が終わってから、ヒースロー空港から飛び立つまで、人生で一番おいしいお酒をたらふく飲ませてもらいました。ずっと飲めないと思っていた堅樹(福岡)と慶(藤田)と飲むことができて、飲めないふりをしていただけというのを、この間初めて知りました。

 決勝トーナメントに行けなかったことは残念に思いますが、3勝できて、ずっと欲しかったW杯の勝利というのを得ることができました。羽田空港に着いた時に、多くの方が出迎えに来てくれて、12年間代表でやっていて、ずっと見たかった光景をそこで見ることができて、本当にうれしく思います。今のラグビーの盛り上がりを文化として根付かせるように、11月から始まるトップリーグを一選手としてしっかり戦っていきたいと思います。

■稲垣啓太「地元から大きな力をもらった」

 たくさんの応援を日本から頂いて、本当に感謝しています。特に僕の地元、新潟からの声援が僕のところにメッセージとして入りました。地元から大きな力をもらいました。感謝したいと思います。結果として、目標としていたベスト8には行けませんでしたが、3勝はできました。ですが、もう終わったことなので、今日からまた4年後に向けて頑張っていこうと思います。応援ありがとうございます。

■カーン・ヘスケス「自分のキャリアのハイライト」

 このチームとして誇りに思います。W杯で自分がプレーできるなんて、思ってもいませんでした。けれども自分のキャリアのハイライトとなりました。そしてファンの皆様の応援に感謝したいと思います。そしてたくさんのメッセージをいただき、それがわたしたちの原動力となりました。家族のみんなに、これまで犠牲を払っていただきありがとうございます。

■ホラニ龍コリニアシ「この盛り上がりを冷めさせないで」

 この仲間と一緒にプレーできたこと、結果を出せたことを誇りに思います。ファンの声援と、家族のサポート、このスタッフのすごいハードワークで支えてくれたことに感謝します。みんなが言うように、来月からトップリーグが始まるので、この盛り上がりを冷めさせないで、2019年日本開催まで盛り上げていきましょう。

■伊藤鐘史「W杯という舞台に立てて、素直に感動」

 ずっと夢に思っていたW杯という舞台に立てて、素直に感動しました。34歳の初舞台で、ぎりぎり間に合って良かったなと思えるようなスペシャルな時間で、場所でした。あっという間にその期間は過ぎ去ってしまったのですが、ここにいる仲間と4年間ハードワークしてきたことは、僕の人生のハイライトとしてずっと残っていくと思います。みんな、ありがとう。

■真壁伸弥「ドキドキを忘れずに、4年間突っ走ってきた」

 正直ここの締めでしゃべるのが、W杯の試合よりも緊張しています。どきどきです。エディーさんに初めて呼ばれて、その時に日本の歴史を変えたいと言われてドキドキして、そのドキドキを忘れずに、この4年間突っ走ってきました。そしてしっかり3勝して、日本のラグビーを少しずつ変わっていることが実感できて、感無量です。このW杯の目標であるベスト8に行くという目標は達成できませんしたが、しっかりと日本のラグビーというものを見せることができたので、ここをスタートとして、19年、日本開催のW杯で、もっといいベスト8以上の成績が残せるようにハードワークして頑張っていきたいです。

ジョーンズHC「日本ラグビーのマインドセットの変化が必要」

「チームでしっかり勝つ文化ができたので、それを続けることが大事」と語ったーチマイケル主将 【スポーツナビ】

 以下は、質疑応答。

――W杯で3勝できたこと、日本が世界で戦う上で感じた可能性と、さらに上を目指すためには何が必要だと思いましたか?

ジョーンズHC 日本のラグビーは本領を発揮できていないと常に思っています。日本には優秀な選手がたくさんいます。けれども、残念なことに日本のラグビー文化はパフォーマンスをするところではありませんでした。高校、大学、そしてトップリーグチームまでもそういう状態です。高いレベルでパフォーマンスするための練習をしていません。規律を守らされたり、従順にさせるために練習しているだけなので勝てない。しかし実際、日本選手の質は非常に高いです。

 この先、正しい方向に進んでいくためには、日本ラグビーのマインドセットの変化が必要です。足の速いウイングがいたとして、その選手に1週間に6回、中距離ランナーのような練習をさせてしまったら、彼の走力は失われてしまいます。それが現実です。ウサイン・ボルトはマラソン選手のような練習はしません。スプリンターとしての練習をします。高校、大学、トップリーグのチームはラグビー選手を育てるための練習をしなければいけません。それにより、日本のラグビー界の層が厚くなり、競争率も上がり、情熱も上がります。そうすると結果、強い代表チームが形成されます。しっかりとしたプランニングと遂行する力がないといけません。それは非常に困難なことです。変化が必要だからです。変化を嫌う人もいます。

――今回のW杯をもって退任されますが、日本ではまだまだHCを続けてほしい、やめないでほしいという声も出ていますが

ジョーンズHC このW杯の結果は自分のことではなく、選手たちのことです。ファンは本来はこの選手に続けてほしいと思うべきです。次のコーチが来て、たぶん自分より優秀なコーチが来るかもしれません。しかし、このチームの成長は後ろに座っている選手たち次第です。もちろん、自分の愛するチームを去るのは淋しいことです。

――あらためて今回、このメンバーで戦ったW杯を振り返って

リーチマイケル このチームでプレーできたことをすごく誇りに思っています。

――4年後には日本で開催されるW杯がありますが、この4年間何が大事になってくると思いますか?

リーチマイケル このチームでしっかり勝つ文化ができたので、それを続けることがひとつ大事だと思います。それと、2011年に悔しい思いをして、2015年の大会では絶対悔しい思いをしないように努力をしました。今度、代表に入ってくる選手たちに勝つために何が必要か、(伝えて)そのまま続けていきたいと思います。

――試合後のインタビューで、4年間を振り返って非常につらかったという涙が印象的でしたが、どんな思いがめぐったのでしょうか

田中 すごい孤独な時間が多くて、海外でもそうですし、チームの中でもエディと言い合いをしたり、チームメートに文句を言ったりしていたので、本当にしんどい4年間だったなあという思いがあります。それと、そのしんどい思いがあったから3勝できて、最高の形とは言わないですけど、日本のラグビーの歴史を変えて人気を少しでも上げられたのかなという思いが入り混じって、もともと泣きやすいっていうのもあるんですけど、そういう思いが入り混じって涙になったと思います。

――その田中選手の頑張りが、このような結果に結びついたと思いますが

田中 僕はただ言葉を言っているだけで、あとは選手たちが話し合って、しんどい練習をしてということだったので、ここにいるみんなに尊敬の気持ちとありがとうという言葉を言いたいです。

――五郎丸選手の(ペナルティーキックの際の)ポーズが今日本では大人気になっているんですが、ご自身の耳には入ってきているんですか?

五郎丸 耳には入ってきてはいないんですけど、(まねをしている人たちの)構えを見ていたら、まだまだ研究が皆さん足りないんで、指の方にもちょっと注目していただいて。指が立っているのは3本、4本なんで、決して2本じゃないので。2本だと、ちょっと違う方向に行ってしまいますので、もうちょっと研究してほしいなと思います(笑)。

――こういう形でもラグビーが注目されることに関してはいかがですか?

五郎丸 4年前から廣瀬前キャプテンを中心に、憧れの存在になりたいねという話で、小さいことの積み重ねをやってきた結果が、こうやって試合でも結果が出ましたし、子供たちからも憧れられるの存在になったことを嬉しく思います。

――4年後の日本で開催されるW杯に向けての思いを聞かせてください

五郎丸 このチームは2019年に向けてラグビーを国内でしっかり盛り上げるということが最大の任務だったので、その任務を果たせたことを嬉しく思いますし、今後についてはまたゆっくり考えたいと思います。

――これほどまでに、帰ってきた時に日本の雰囲気が違うなということはイメージされていましたか?

五郎丸 チームルームにテレビがありまして、そこで日本のテレビが見られたので、みんな何となくこうなるんじゃないかなというのは気づいていたので、そんなにびっくりはしていないですね。

――大会前は?

五郎丸 大会前は集中していたので、初戦の南アフリカ戦にみんな集中していましたし、チーム全員が南アフリカに勝つんだという気持ちで臨んでいました。

――エディさんが先ほど日本の強化について少し触れられましたが、エディさんが去られるということで、日本協会側が強化の部分で19年に向けてやっていかなければいけないと思いますが、監督人事に関して、どのような人を協会として必要としていくのかを聞かせてください

岩渕GM 今回チームがW杯で3勝を挙げましたので、当然2019年の大会では、それ以上の成績を収めなければいけないと思っています。今大会が行われているイングランド代表は世界で競技人口が一番多くて、恐らく世界で一番ラグビー協会としては裕福ですけれど、ベスト8に進めませんでした。その意味では、ここにいる選手たちがこれまで以上に変わらなければいけないですし、そういうことを支えてくれる、その力を出せるHCを任命することがまず大事な基本線ということで進めています。

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