「羽生2世」と呼び声高い15歳の逸材 山本草太を形成する“才能”と“努力”
将来を嘱望される15歳の山本草太がインタビューに応じた 【スポーツナビ】
憧れの選手は羽生結弦(ANA)。そう公言しているからか、山本は「羽生2世」との呼び声が高い。実際、高さと伸びのあるジャンプ、体型、堂々とした物言いなど共通点は多い。現在は15歳の高校1年生。日本男子フィギュアスケート界の将来を担う逸材に、今季に懸ける思いや羽生とのエピソードなどについて語ってもらった。(取材日:9月10日)
メンタルの部分に問題があった
会場のコロラドは標高が高かったので、夏休みはずっと体力強化を中心に、合宿を何回も積んで臨みました。トリプルアクセルと4回転はある程度曲に入るようになってきたんですけど、やっぱり本番での緊張感もあり、練習とは全然違ってあまりうまくいきませんでした。4回転は初めてフリースケーティング(FS)で入りましたが、後半は体力が失われてしまい、いつもの演技ができなかったのですごく悔しかったです。
――トリプルアクセルがうまくハマらなかった印象ですが、課題はどういう部分にあると感じましたか?
向こうに行ってからも練習では調子が良かったんです。ただ、ショートプログラム(SP)の6分間練習のときになかなか決まらず、自分の中でも焦ってしまって……。そのまま本番を迎えてしまい、同じような失敗をしてしまったので、そこはメンタルの部分に問題があったと思います。メンタルは経験を積んでいかないと強くならないと思うので、とにかく1試合1試合集中してやっていかないといけないなと思いました。
――練習で決まらず、少し弱気な部分が出てしまったと?
最近「試合では強い」とみんなに言われていて、よく決まっていたんですけど、久々に本番でああいう失敗をしてしまって……。優勝したネイサン・チェン選手はプログラムの通し練習もノーミスで、本番も練習通りといった感じでした。焦ったり緊張もしなさそうですし、余裕もあったと思います。もう本当にミスするということを知らないんじゃないかというくらい失敗しなかったので、それを見習いたいなと思いました。
――今季から4回転を入れ始めました。いきなり国際試合で成功させましたが、トリプルアクセルとの両立という意味で、実際にプログラムに組み込む難しさはありましたか?
難しいジャンプはだいたい前半に固まっているので、そこに集中すればなんとか練習でも形になっているんですけど、後半に1つトリプルアクセルが入っているので、昨シーズンと比べて難易度は上がっています。でも難しいとは言っていられないので、とにかく練習を積んで、本番でしっかりとノーミスの演技ができるようにしたいと思います。
最低限のレベルは上がった
トリプルアクセルを初めて試合で決めたのが昨シーズンのJGPファイナルで、そのときは現地(スペイン)に入ってからもすごく調子が良かったんです。前は恐怖心が少しありましたが、SPで初めて決めて、そこからそういうものがなくなった。それで確率がどんどん上がっていった感じなので、本番で跳べたことが大きかったなと思います。
昨季のJGPファイナルでトリプルアクセルを決め、自信を深めていった 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
全く恐怖心がなくて調子が良い日と、本当に「トリプルアクセルを跳べるの?」というくらい調子が悪い日と、そういう波が前はあったんですけど、ファイナルを終えてからは調子がすごく悪くても絶対に何本か下りられるようになりました。そういう感じで昨シーズン後半はずっと決まるようになっていましたね。今シーズンは初戦のサマーカップのSPではトリプルアクセルが入ったんですけど、FSでは4回転で転んでからの立て直しが難しくて決まらず、コロラドでもFSで2回跳んで、全然きれいには立てなかったので、本当に練習するのみかなと思います。
――ご自身でも波があると感じるのですか?
調子が悪くても最低限のレベルは、昔よりだいぶ上がりました。以前は本当にぼろぼろだと5回も6回も転んだ試合があったので、そういうのはなくなりましたね。それが当たり前なんですけど、世界のトップ選手、ジュニアのトップ選手は4回転を1本だけじゃなくて、2本も3本も入れている選手もいるので、1本跳んだだけでうかうかしていられないです。とにかく4回転1本と、トリプルアクセルを2つ下りるのが最低条件かなと思います。