セナに並んだハミルトン、重なる光景 “F1の行方”見守る現場は慌しく
バトン引退報道をはじめ話題は尽きない
フェルスタッペンに抜かれたアロンソ(手前)は無線で憤りをぶつけた。ホンダにとっては悔しい日本GP復帰戦となった 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
まず、バトンの引退報道。これはチームメートであるアロンソとの待遇の差にモチベーションを失い、F1を引退することを決断したというもの。実際、木曜日のFIA記者会見などで引退について問われたバトンは「まだ発表できない」と言葉を濁したものの、引退の可能性があることは除外しなかった。その後、BBCによると、マクラーレンはロン・デニスがバトンと会談し、チームとして慰留したことを明らかにした。レース後にロン・デニスはバトンとの契約は来年も残っていると言い、引退の可能性はなくなったとしている。
アロンソの怒りとホンダの無念
このアロンソのエンジン批判に対して、ホンダのプロジェクトリーダーである新井康久氏は「激励と思って受け止めている」と、ドライバーとしてあのような状況になれば当然の意見だろうと擁護した。また、バトンが2台のマシンに同時に左右からオーバーテイクされたことについては「応援してくれていたホンダファンに申し訳ない」と悔しさをあらわにし、パワーユニットのポテンシャルがいまだ十分とは言えないことも認めた。
一方で、VWのディーゼルエンジン不正検査問題と、ルノーの撤退もしくはロータスチーム買収に絡む問題から、複数チームへのパワーユニット供給が求められるのではないか、という質問に対しては、現時点ではそうしたオファーがないことから来年もマクラーレンへの独占供給しか考えていないこと。今後周囲の状況が変わることがあっても、果たしてホンダのパワーユニットを求めるユーザーがいるかはわからない、と答えて、ホンダはパワーユニットの供給姿勢にかなり消極的な立場であることを示した。
存続危機のロータス、ルノーが買収を発表
見事なまでに晴れわたった秋空の中で行われた日本GPは、ハミルトンの勝利、フェラーリの復調、若手の台頭といった、ファンには見応えのあるレースであった。それと同時に、F1関係者にとっては、現在F1が抱えているさまざまな問題が並行して進行する、実に慌しい週末だった。