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山田大記がドイツで感じた限界と伸びしろ
ファンに伝えたかった成長への思い

今季から10番を背負う

ドイツ2部カールスルーエの山田大記。昨シーズンは入れ替え戦で敗れ、1部昇格はならなかった
ドイツ2部カールスルーエの山田大記。昨シーズンは入れ替え戦で敗れ、1部昇格はならなかった【Bongarts/Getty Images】

 カールスルーエの山田大記は、1年前からずっと気になる存在だった。背番号9を背負ったMFは、ドイツの屈強な守備網をテクニックとボディーバランスの良さでかいくぐり、2014−15シーズンの前半だけで6ゴールを挙げていたのだ。


 しかし、後半戦に入るとピタリとゴールが決まらなくなった。2部リーグということもあり、山田の動画はあまり上がらなくなってしまった。昨季のカールスルーエは2部リーグを3位でフィニッシュし、ハンブルガーSVとの入れ替え戦プレーオフでは死闘の末、昇格を逃してしまった(2戦合計2−3)。山田は最後までレギュラーの座を守ったのだから、得点こそなくてもきっと健闘したのだろう。だが、この頃の彼のピッチ上での実態は分からなかった。


 15−16シーズンが始まった。背番号10を背負う山田は、開幕2試合を負傷のため欠場し、チームも2連敗と開幕ダッシュに失敗した。しかし、第3節で山田が今季初出場すると、チームも2連勝と戦績をタイに戻した。だが、第5節のブラウンシュバイク戦で、カールスルーエは0−6という惨敗を喫する。幸い、すぐにインターナショナルマッチウィークがあった。きっと、この休みを使ってチームは建て直すだろうという根拠もない期待を持って、僕は第6節のウニオン・ベルリン戦へ向かうことにした。

悪い流れを断ち切れず敗戦

 ビルドパルク・シュタディオンはカールスルーエ郊外の、巨大な森林公園の中にあった。試合終了直前にシェパードを連れた警官がピッチの周りを囲めば、まるで30年前のブンデスリーガの風景になりそうな古く、ノスタルジー溢れる居心地の良いスタジアムだった。12分に早くもカールスルーエはFKから失点してしまうが、この時は1万5000人の観衆も熱い声援を惜しまなかった。


 山田は4−4−2の左サイドハーフだった。15分、山田がバイタルエリアでパスを受け、ボールを置き直してからシュートを放つが、枠を捉えることができなかった。33分にはセンターバック(CB)からパスを受けた山田がターン。味方とのワン・ツーから前へ出て、左からのクロスをスライディングボレーで合わせるも、相手DFにブロックされCKを得た。山田にも相手にとって脅威となるプレーがあった。しかし、チームとしては積極性を欠き、ミスを恐れてミスをする悪循環に陥る。やがてサポーターもしびれを切らし、カールスルーエの選手に奮起を促すようになる。


 だが、後半立ち上がりの49分、CBの対人ミスからカールスルーエは追加点を許してしまう。後半からトップ下に入った山田は、よりボールを広いエリアで扱い、戦局を打開しようと走り回る。63分、深い位置へ引いて右サイドのオープンスペースへパスを出した山田はそのままゴール前に走り込み、クロスを受けてシュートを放ったが、やはり枠を捉えきれなかった。


 77分、またしてもカールスルーエに個のミスが生まれ、3点目を失った。0−3。カールスルーエは前節からの悪い流れを断ち切れなかった。これで今季のカールスルーエは2勝4敗と、非常に苦しい開幕スタートとなった。

山田が感じる焦りとDFのレベルの高さ

ドイツではDFのレベルの高さを感じるという。日本の感覚でシュートを打つとコースに入られてしまう
ドイツではDFのレベルの高さを感じるという。日本の感覚でシュートを打つとコースに入られてしまう【Bongarts/Getty Images】

「やっぱり失点の時間帯が悪かった。僕もそうでしたが、チャンスで決めていない。せめて0−2の段階で1点返していたら、全然違ったゲームになったのではないかと、今チームメートと話していました。チャンスを作りながらも決めきれず、ああやってゴールを決められちゃうと完全に負け試合……。でも、この間の0−6の試合は何も機能してなかったという感じですけれど、今日はかなりチャンスを作れていたし、失点も完全に崩されたわけではない。だから、あまり悲観的にならないことが大事だと思います」(山田)


 1年前の山田は点を獲ることができていた。ウニオン・ベルリン戦でも惜しいところまでは行っていたのだが……。 


「あまり点を獲れていないから焦ってしまっているんですよね。監督からも『ゴール前で落ち着け』と言われるんですけれど、やっぱり今日もボールを置く位置が悪かったり、シュートもワンテンポ焦ってしまったりというのがある。やはり焦らないようにしようとは思っています。でも、一瞬力んでしまったりというのはあるかもしれない。点を獲れている時期はすごく自分もリラックスして、良い状態でシュートを打てていたと思うんです。獲らなきゃというのは、あまり考えてもしょうがないですけれど、感じているのかな。1点獲れれば変わると思うんですけれど、その1点が欲しいというのが難しいところです(苦笑)」


 また、ドイツ2部リーグのDFのレベルの高さも、山田は感じ入っている。


「昨季の後半戦、点を獲れなかったのはJリーグとは違って、シュートブロックの速さだったり寄せ方だったり、コースの入り方がすごくうまい。それは全然違いますね。Jリーグだったら(ボールを)一個持ち直してもまだチャンスがあったけれど、こっちでは一個持ち直したらコースが消されてしまう。だから早く打たなきゃと感じる。 日本の感覚で打っているとコースに入られ、だいたいシュートがDFに当たってしまう。とにかく今は相手を見るというのと、早く打つことを意識しています。(シュートをDFに)当てないように。でも、今日はシュートがDFに当たってもないし、枠にも行ってなかった」


 33分に自らビルドアップの主体となってフィニッシュまで持ち込んだプレーは、山田も手応えを感じていた。


「ああいう流れを作っていきたいんですけれど、去年の後半戦から相手も自分たちの攻撃を研究してきているのを感じている。その中で自分たちも戦術を少しずつマイナーチェンジしてやっています。良い時はもっと迫力があるので、チームとしてガッと行った時はかなりチャンスになってます。今は局面では(迫力が)たまに出てますけれど、そういうところでちょっとリズムに乗り切れてないところがある」

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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