「わが家」に帰還したサビオラの挑戦 古巣バルサへの思いを胸にクラブW杯へ
「生まれた場所に戻るときが来た」
「わが家」と呼ぶリーベルに戻ったサビオラ。復帰した理由は実に明快だった 【写真:アフロスポーツ】
クラブにとって19年ぶりとなったコパ・リベルタドーレス優勝。ハビエル・サビオラは、最愛のリーベルの一員として悲願達成の感動を味わった直後、やや興奮気味に語った。
サビオラのリーベル復帰が確定したのは、この南米王者のタイトルを掲げるわずか1カ月半前のこと。6月23日、メディカルチェックのために訪れたクリニックの前で大勢の報道陣に囲まれた際、古巣に帰って来た理由を聞かれた際のサビオラの回答は、実に明快だった。
「自分が生まれた場所に戻るときが来たからさ」
8歳の頃から11年間過ごしたリーベルを「わが家」と呼ぶサビオラは、14年前にクラブを去ったときから、いつかは必ず戻ると心に決めていたという。
「家に帰って来ることができて本当に幸せだ。早くチームに合流してトレーニングしたい。そして昔のように、クラブで素晴らしい体験をしたいと思っている」
容易ではない挑戦にも「うれしい」
以前とはクラブを取り巻く環境は違う。容易ではない挑戦だが、サビオラは「うれしい」と語る 【写真:アフロスポーツ】
「自分がリーベルにいた頃(98〜2001年)は、リーグ戦やカップ戦で優勝することがまるで当たり前となっていた空気があった。でもその後、理想的な結果が得られない時期が続き、クラブが直面した苦境を乗り越えたことで、サポーターたちの熱狂度や、チームに対する関心がより高まったように思う。そして彼らには、まだまだ祝福し続けたいという願望もある。そういう状況の中で復帰できたのは光栄だし、とてもうれしい」
以前よりも明らかに高まっているサポーターの情熱は、裏を返せば選手にとって大きなプレッシャー。「祝福し続けたい」というのは、「昨年のコパ・スダメリカーナに続いてコパ・リベルタドーレスでも優勝したい」というファンの願いを意味していた。サビオラにとって「わが家」も同然のリーベルとはいえ、リラックスムードに浸ることはできない。ピッチの内外でサポーターから選手たちに求められるものは14年前よりも明らかに肥大化しており、クラブ育ちのベテランというだけで優遇されるような状況にないことは百も承知だった。それを証拠付けるかのように、今年初めにリーベルに復帰し、5月末にはリーグ戦でのプレーを実現させていたパブロ・アイマールは、その後コパ・リベルタドーレスのメンバーから外され、引退している。
しかし、決して容易ではないチャレンジを前にして「うれしい」と語ったのは、子どもの頃から自信に満ち溢れ、強靭なメンタルの持ち主として知られてきたサビオラらしかった。