富士登山スタイル――装備とウェア フジヤマNAVIの登山ガイド2015(4)

フジヤマNAVI

安全で素敵な登山スタイル

 次は登山のファッションについて考えましょう。もちろんオシャレも大切ですが、登山ウェアは機能のほうがより大切です。

○下着
登山中は汗をかき、下着やTシャツは濡れてしまいます。その汗がなかなか乾かないと、体温を奪われて体が冷えてしまいます。この冷えを防ぐ為には、肌に一番近い下着やTシャツを吸水速乾性のある化学繊維またはウール素材のものにすることがベストです。登山ウェアで一番大切なのは、見えない部分の下着なのです。

○長袖シャツ
半袖のTシャツのほかに、長袖のシャツを1枚持つようにしましょう。山シャツと言われる定番はチェック柄のシャツですが、長袖のTシャツや薄手のウィンドブレーカーでもOKです。ただし登山中は頻繁に温度調整をするため、脱いだり着たりがしやすいデザインで厚すぎないものがおすすめです。防寒だけでなく、日焼け対策にも使えます。

○靴下
靴下は登山用の厚めのものを選びましょう。登山用靴下は丈夫で、保温性と速乾性にも優れています。厚みのあるほうが足を保護してくれて安心です。ただしNGなのは靴下の2枚重ね。靴下を2枚重ねると、足にマメができる要因になります。かかとが剥けやすい人、外反母趾の人はあらかじめテーピングやマメ防止パッドなどを貼っておくといいでしょう。

○ズボン
トレッキングパンツやジャージなどが動きやすくて便利です。最近では機能性のあるタイツに短パンやスカートを重ねるスタイルも人気があります。機能性タイツを厚手のストッキングで代用している女性を見かけますが、これでは機能をカバーできていません。濡れた時になるべく速く乾く素材のほうが断然快適に歩けます。同じ理由でジーンズもNGです。

<ウェアの基本 〜レイヤードとは〜>
山歩きのときの服装には、基本的な考え方があります。それは「レイヤード」、つまり「重ね着」です。富士登山は特に温度の差が大きいので、重ね着はとても重要になります。レイヤードの基本は、暑くなったら1枚脱ぎ、寒くなったら1枚着ること。そのためには1枚1枚の服が厚すぎないほうが重ねやすいです。通常の登山では着たり脱いだりを繰り返して快適な温度を保ちますが、富士登山の場合はどんどん寒くなっていくので、服を重ねていくイメージです。出発時は半袖Tシャツからスタートして、肌寒くなったら長袖のシャツを重ね、さらに風が強くなってきたら防風ジャケットを足していくといった感じです。

あると役立つグッズ

【フジヤマNAVI】 【フジヤマNAVI】

 山小屋で快適に過ごす、砂走りを下るなど、富士登山ならではの便利グッズを紹介します。

○ポール
膝痛など足腰の疲労が出やすい下りで役に立つのがトレッキングポールです。2本(ダブル)で使うとバランスを取りやすく、膝への負担を軽減できます。

○スパッツ
スパッツは本来雨の日や積雪用に足元のカバーとして使いますが、富士山の下りで重宝します。砂地で靴の中に砂や小石が入りこんでしまうのを防ぎます。

○アウトドア腕時計
高度計や気圧計・コンパス機能を搭載した腕時計があると安心です。防水性もあり、雨の中でもそのまま装着できます。

【フジヤマNAVI】 【フジヤマNAVI】

○携帯酸素
高山病の予防や、気分をリフレッシュさせる効果が期待できます。山小屋で購入できます。最近は登山専門店で水に一滴入れて飲むタイプの酸素も売っています。

○サングラス
標高が高い場所は紫外線も強いです。日中の紫外線から目を守りましょう。軽量で動いてもずれにくいスポーツ用がおすすめ。

○双眼鏡
軽量でコンパクトに折りたためる双眼鏡があると楽しさアップ!野鳥や植物の観察、山頂からの展望などのんびり味わいましょう。
○耳栓
山小屋で仮眠するとき、物音やイビキが気になる人に。慣れない環境の山小屋で熟睡するのは至難の業です。耳栓だけならそんなに荷物になりません。

○インナーシュラフ、手ぬぐい
山小屋には布団が用意されていますが、寒がりな人や清潔好きな人はコンパクトなインナーシュラフを。手ぬぐいは枕カバーや目隠しとして使えます。

○小銭入れ
山小屋のトイレは有料です。事前に100円玉を10枚くらい用意しておき、小銭入れに入れておくと便利です。お札と小銭を分けて持つのがポイントです。

○テーピングテープ
テーピングテープと絆創膏だけは救急セットとして持ち歩くといいでしょう。テーピングは靴のソールが剥がれてしまったときの救急処置にも使えます。

○ウェットティッシュ
富士山には洗面用の水がありません。汗をふいたり日焼け止めを落としたりするには、ウェットティッシュを持参しましょう。

○マスク、サングラス
こちらも下りで活躍するグッズ。下りでは砂埃の中を歩くため、マスクやサングラスで顔を覆っておくと安心です。特にコンタクトレンズの人はサングラスが重宝します。

登山装備は正しく使おう

 どんなに素晴らしい登山用具を購入しても使い方を知らなかったり、間違った使い方をすれば、十分に機能を発揮できないばかりか、かえって疲れたり、足を痛めたりすることもあります。さあ、正しい使い方でスタイリッシュに登りましょう。

○ザック
体力の消耗、疲労に大きく影響するのがザックのパッキングと背負い方です。パッキングは基本的には軽く山小屋に着くまで使わないダウンなどの防寒具を底部に、重い物は体に近い位置に、そして頻繁に取り出すものを上に載せます。街で見かけるように、ショルダーベルトを長くして低い位置で背負うのは、重心が低くなり重たく感じます。ショルダーベルト、ヒップベルトをしっかり調節して、背中にぴったりくっつけるようにするのが軽くて歩きやすい背負い方です。

○登山靴
富士山では「スニーカーを履いて軽快に」とはいきません。ゴツゴツした岩礫の上を歩くので、底にしっかりとしたソールがある靴を選びましょう。また、急な下りでも靴の中で足が動かないようしっかり締まり、足を挫かないように高い位置まで固定できるミッドタイプのトレッキングシューズがお薦めです。新しい靴を購入した時は、富士山に登る前に試し履きをしておきましょう。

○雨具
晴れていても必ず持って行かなければならないのが雨具です。山では雨ばかりではなく防寒、防風にも役立ちます。裾が空いているビニールポンチョや傘などは、風の強い富士山では役に立ちません。登山専門店などで販売している透湿性と防水性に優れた素材を採用している雨具をおすすめします。

○登山ウェア
真夏の暑いときはTシャツ、短パンでも歩けますが、登山の基本は長袖、長ズボンです。肌を露出しないことが日焼けの防止や怪我の予防になります。登山中は頻繁に温度調整をするため、脱いだり着たりがしやすいものがおすすめです。またアンダーは吸汗性、速乾性に優れた素材を選びましょう。

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著者プロフィール

“富士山エリアを完全ガイド”がコンセプトの富士山情報サイト(運営:富士急行株式会社)。富士登山や富士山を眺めるハイキングといったアクティブ派向けのコンテンツをはじめ、「地域」や「季節」に合わせた富士山をさまざまな視点から楽しめる特集記事を掲載。また、地元旅行会社と連携した富士登山バスツアーも紹介しています。

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