この上ない滑り出しを見せた岡崎慎司 ゴールを決め、チームに欠かせない存在へ

田嶋コウスケ

ラニエリ監督も賛辞を贈る

岡崎の出来について、ラニエリ監督も賛辞を贈っている 【Getty Images】

 レスターの2点目も、岡崎を経由した連携プレーから生まれた。背番号20がペナルティーエリア内左サイドに侵入すると、バーディがヘッドでパス。岡崎が十分なタメをつくって味方の攻め上がりを待ち、最後はアルジェリア代表MFリヤド・マレズがネットを揺らした。

「2点目も、バーディとの関係から生まれた。あのようなコンビプレーが多かったですね。バーディがヘディングで競って僕がキープするとか。僕自身、徐々にセカンドストライカーとして感触をつかみつつある。それをずっと増やしていきたい」(岡崎)

 岡崎の効果的なプレーに感銘を受けたのか、右サイドバックのリッチー・デ・ラートは得点者のマレズではなく、日本代表FWのもとに駆け寄って祝福していたのが印象的だった。

 そして賛辞の言葉は、クラウディオ・ラニエリ監督からも聞こえた。イタリア人指揮官は言う。

「シンジ、バーディ、マレズ。みんな非常に良いプレーをしてくれた。シンジのゴールにはとても満足している。わたしもハッピーだが、そこに驚きはない。(難易度は高いが)あのゴールは、シンジにとっていたって普通の得点。非常に勇敢でファンタスティックで、バーディとの連携も良かった」

開幕2連勝でチームは首位へ

62分に途中交代した岡崎(左)だが、すでにチームにとって欠かせない存在になりつつある 【Getty Images】

 奪えるか、奪えないかのルーズボールに、頭から突っ込んで右頭部を負傷し、血止めのワックスで頭をベトベトにしながら、フィールドを駆け回った。さらに前半終了間際には、相手選手と交錯して足首を負傷。本人曰く、大事には至らなかったが、泥臭く、そしてエネルギッシュにプレーする岡崎の姿は健在だった。

「ゴール? 大きいですね。ただ、あくまでも1点にすぎない。これを続けなければ、シーズン1点で終わってしまうし、何も満足しない。あと何回、このシーズンで続けられるか。シュツットガルトの時がそうだったが、1点で終わる可能性もあるし」

 試合後、決して現状に満足せず危機感を募らせていた岡崎だが、こうも言う。

「点を取ったことで、これでまた試合に出られるチャンスをもらえる。(周りの信頼も得られたと思う?)そうですね」

 国内リーグ2試合目で初ゴールをマークし、周囲との連携・信頼も深まってきた。2−1で勝利したことで、チームは開幕2連勝。降格の危機がささやかれていたレスターが、まさかのリーグ首位に立つ。運動量の落ちた62分に途中交代でピッチを退いたものの、インテンシティー(プレー強度)を注入する質の高い動きで、すでに欠くことのできない存在になりつつある。

 岡崎のイングランドでの挑戦は、この上ない滑り出しとなった。

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著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

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