夏野菜で体づくり&疲労回復 管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方

田中夕子

【Getty Images】

 暑さも少し、ひと段落。疲労がたまっている人も少なくないのではないでしょうか。暑さで疲れた体に強い味方になってくれるのが夏野菜です。トマトやナス、ゴーヤなど色の濃い夏野菜はどんな効能があるのか、みなさんご存知ですか?

 管理栄養士の川端理香さんに聞く「管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方」。シリーズ13回目は「体づくりに欠かせない夏野菜&夏の果物」。コンビニエンスストアでも売られている夏野菜を使って、手軽にできる栄養補給。知っておくと得をする、夏野菜&果物の栄養ポイントを学習しましょう。

旬の時期に、旬ものを食べよう

 旬の時期に旬ものを食べると元気になる、と聞いたことがありませんか? 多く出回るために値段も安く、なおかつ栄養価が高く、夏が旬の食べ物は水分が多く体を冷やす効能があり、冬が旬の食べ物は体を温める効果がある、といったように、その時々の「旬」を味わうことはとても理にかなっているのです。
■キュウリ……利尿作用、熱中症対策にも
 では夏に旬を迎える代表的な夏野菜は何か。キュウリ、トマト、トウモロコシ、ナス、オクラ、ミョウガ、シソ、ゴーヤなど色の濃い野菜が多いことが特徴です。
 キュウリは水分が豊富で利尿作用が高い。かみ応えもあるので、食欲がない時にキュウリを食べると脳に刺激が与えられ、食欲が出るのも利点の1つです。最近ではコンビニエンスストアでもキュウリをそのまま1本浅漬けにしたものなどが売られています。水分と塩分を程よく摂取することができるので、スポーツする人はもちろん、一般の方の熱中症対策としても効果的です。

■トマト……紫外線ダメージを軽減
 トマトはカリウムが多く、取り過ぎた塩分を排出してくれる“デトックス効果”のある野菜です。赤い色はリコピンという栄養素で、紫外線による疲労や肌の炎症を軽減してくれる、まさに夏の体にとってはお助け食材と呼ぶにふさわしい野菜です。近頃では品種改良も進み、糖度が高いものや、赤だけでなく黄色やオレンジのプチトマトなど、さまざまなものが売られています。カップに入ったプチトマトなどもコンビニエンスストアで売られていますので、サラダ感覚で食べるのもよいでしょう。

■トウモロコシ……食欲不振時は主食に
 トウモロコシは糖質が高いため、食欲がなくておにぎりやパンに飽きちゃった、という人は主食にしてもいい食材です。甘味があるので、間食や、強度の運動をする人には補食としてもうまく使えます。場所によっては茹でトウモロコシを扱うコンビニエンスストアもありますので、気軽に手に入れられることも。ただし、ダイエットで糖質制限をされている方は控えたほうがいいでしょう。

■ナス……活性酸素を除去、油の摂取には注意を
 ナスも主成分は水分です。トマトの赤色がリコピンであるように、ナスの紫色は「ナスニン」という成分(アントシアニン系色素のポリフェノールの一種)で、生活習慣病や老化現象の元とも言われる活性酸素を除去する効果があります。ナスニンはナスでしか摂取することができません。
 1つ気を付けてほしいのは、コンビニエンスストアで売られているナスを使ったお惣菜を選ぶ際のカロリー過多です。たとえば麻婆豆腐と麻婆ナスを比べると、圧倒的にナスのほうが油の吸収が高い分、カロリーが高い。ナスを蒸したり煮たり、生で食べる分にはさほど気にならないカロリーも、油を使うとカロリーがグッと高くなるのでダイエットをしたい人は要注意。夏バテをして食欲がないからコンパクトに栄養摂取、カロリー摂取をしたいという時は効果的ですが、胃腸が弱っている時は油を過剰摂取すると負担が掛かるので、お腹や体の調子と相談しながら、うまく取り入れるようにしましょう。

■ゴーヤ、シソ 濃い緑色野菜……デトックス効果に期待
 ゴーヤやシソ、緑色の濃い野菜は毒素や老廃物を体外に排出してくれるので、代謝が落ちている時に食べるようにするとよいでしょう。ミョウガも含め、独特の苦味があるのが特徴でもあるので、好きな人は好んで食べるけれど、あの苦味がちょっと……という人もいるとは思いますが、デトックス効果が非常に高い食材です。

■ネバネバ野菜……免疫力アップ、ビタミンC摂取に
 オクラやモロヘイヤなどネバネバ野菜は免疫力を上げる効果があります。サラダに使われていたり、おひたしとしてお惣菜コーナーに置かれていることもあります。食欲がない時には、オクラやモロヘイヤ、キュウリやナスをあえて卵も一緒に加え、ご飯にかけるだけでも栄養満点。特に暑さが厳しい時は、調理をするのも大変だし、食欲もないからと、そうめんやそば、うどんなどの麺類だけで簡単に済ませてしまうこともありますが、シソやミョウガを加えればビタミンCも摂取できる。ビタミンCには夏バテ予防の効果があるので、コンパクトに栄養が詰まった夏野菜を薬味として乗せる、というだけでも十分です。

■スイカ……水分補給&むくみ予防・防止
 夏の果物と言えば、スイカ。スイカはシトルリンというアミノ酸の一種が含まれていて、免疫力を高める働きがあると言われています。利尿作用も高いといわれており、夏場に代謝が落ちて体がむくんでいる時にオススメの食材です。水分補給もできるし、いらない分は出してくれる。夏の体を健康に保持するために適した食材であるのは間違いありません。

■桃……健康的な甘味摂取に
 もう1つ、夏の果物といえば桃。糖質量が高いので全体のカロリーもやや高めですが、食欲がない時の糖分補給、エネルギーを摂取するためのサポートをしてくれる食材です。桃も水分が多いので、ジュースで甘味をとりたいと思う人も、果物を食べて水分を摂取したほうがいいでしょう 。コンビニエンスストアでもスイカやメロン、パイナップルといったカットフルーツがそのまま売られていますし、冷凍のマンゴーやブルーベリーはシャーベット感覚で食べられるのでデザートにもなる。スイカバーや桃ジュースを選ぶのではなく、冷凍コーナーのフルーツやカットフルーツを賢く活用して下さい。

川端理香プロフィール

管理栄養士。元日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツ栄養Watsonia代表(http://kawabatarika.com/index.php)。Jリーグチームや選手、プロ野球、ゴルフ、柔道選手などのサポートをし、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、全日本男子バレーボールチームなどを担当。トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツをする人の競技力アップのためのサポートに務めている。著書に『スポーツ選手の完全食事メニュー』『10代スポーツ選手の栄養と食事』『子供の身長を伸ばす栄養と食事』など
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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