平井監督「立て直すときのメンタルが重要」=世界水泳・第4日コメント

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 水泳の世界選手権は5日、ロシア・カザンで競泳競技の第4日が行われ、男子200メートルバタフライ決勝では坂井聖人(早稲田大)が1分54秒24で4位、瀬戸大也(JSS毛呂山)は1分55秒16で6位とメダルには届かなかった。女子200メートルバタフライ準決勝では星奈津美(ミズノ)が2分6秒36の全体1位で決勝に進んだ。

 以下、競泳日本代表の平井伯昌監督の第4日を終えた時点でのコメント。

星奈津美が全体1位で決勝に

星は女子200メートルバタフライをトップ通過で決勝に進出 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――星選手には予選、準決勝とどんな指示をした?

 欧州の大会が終わってからですが、ターンの前にタッチを流している感じに見えるかもしれませんが、練習でもうひと掻きしていたんですね。100メートルの練習では20ストロークぐらいで泳いでいました。彼女の泳ぎが良いときはだんだんと壁に向かってストロークが伸びていきます。そういう感じで、あと5メートルぐらいのところから大きくいって最後を流す感じにしたら、本人が思ったよりもタイムが速いこともあって、それを採用しています。

 予選は、前半何秒でもいいから後半は(1分)5秒で帰ってくるという確認をしました。ただ、それだと(予選の前半のタイムが)1分2秒かかって遅かったので、準決勝は1分0秒で帰ってこれるように前半も少し速く入るようにという指示をしていました。

 本人は1位で決勝に残りたくないと話をしていました。それなら力は出し切るなという話をしました。(準決勝の)最後は少しきつかったようで力を出し切っていないので、(決勝で)タイムを上げて、良い順位にいけばと思います。

 ただ、ずっと言っていたのは大きなことを言わないで確実にいこうということです。明日(決勝)もちゃんと自分のことを確認して、できるレースをするのが目標です。

――ストロークが減っている?

 ストロークは日本記録を出したときよりも(各50メートルで)1ストロークずつぐらい減っていると思います。その分少し手の掻き方などが改善されているので、今までと少し違った泳ぎなのですが、明日は確実にいってくれればと思います。

――大きなことを言うなというのはどういう意図があるのか?

 本人がああいう(控えめな)性格なので、「いけそうだぞ」などと言わないように。以前、中村礼子がメディアの前で「金メダルを狙えます」と言ったらその後ガチガチになったので、そういうことは言わないように深く静かに狙っていきます。

――北島康介(アクエリアス)選手とは逆ですね。

 逆です。(星は)羊ですから(笑)。

――本人はチャンスだと言っていたが平井コーチもチャンスだと思っている?

 準決勝でカティンカ・ホッスー(ハンガリー)選手が敗退したので、大きなチャンスだと思います。そういうことよりも、どういう泳ぎをするのかを確認して、結果というのは後からついてくるものですから。結果のことを考えたり、先に結果を言って自分の調子とズレていたりすると困るので、やれることをしっかりやります。

見込みが甘かったと反省

男子200mバタフライ決勝では坂井は4位、瀬戸が6位とメダルに届かず 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――日本チーム全体はどうですか?

 正直なことを言うと、各選手が皆さん(報道陣)に言っていることを足していくとメダルの数は10個ということになるのですが、報告を受けると各選手の現状が違っていて、現状の調子やライバル選手の実力を考慮すると見込みが甘かったとすごく反省しています。現地に入ってからしか(各選手の)状況を見れていないのですが、各コーチ、選手からの報告を受けた段階ではこのような結果が出るとは思っていませんでした。五輪前年の世界大会は甘くないと言い続けてきたのですが、そのとおりになってしまいました。

 挽回できるところは挽回できるように頑張りますが、結果を受けて来年に向けてどうするかは大会が終わってからゆっくりと考えたいと思います。今のところ大変厳しいのですが、(銀メダルを獲得した)渡部香生子が出場する種目もまだ残っていますから。
 まだ半分しか終わっていないですから立て直すことも十分可能だと思います。各コーチと話をして、できるだけのことをしたいと思います。

――男子選手の成績が振るわない印象だが、有力選手たちの調子はいつもと違う?

 大切なのは現状の把握とライバルの分析だと思います。ちょっと現状分析が足りないのかなという気がします。あとは当たり前のことなのですが、予想しなかったことが起こるわけです。急に速い選手が出てくるなど、そういった状況への対処がうまくいっていない感じがします。

――ここから巻き返しは可能?

 10個は無理ですが、数がどうこうというのが先にあるわけではないので。事前に申し上げたことと大きくずれているので大変申し訳ないですが、できるだけのことをしたいと思います。

――有力選手の得意な種目がまだ残っているので、まだなんとかなりそうか?

 パフォーマンスというのはいろんな要素の総合です。少し感じるのは、調子が良いときはすごく乗っていくのですが、あまりうまくいかなかったときにとてももろい気がするんです。何と言いますか、「目標先行」のような形で、思い通りにいかなかったときの崩れ方が大きいような気がします。次に得意な種目が控えていますが、そこで立て直すときのメンタルが重要だと思います。それは選手だけではなく、コーチと一丸となることが大事なので、そこが足りないのではと思います。やってほしいのですが、立て直しというのはとても難しいです。悪いから立て直すわけですから。

 そこで大会期間中の選手のメンタル面を立て直してあげることができるかどうか、厳しいというのはありますが、できるだけのことはしたいと思います。
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