錦織選手が取り組む「反復練習」とは? 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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「体で打つ」でボールの質が向上

錦織選手はチャンコーチと取り組む「体で打つ」反復練習でボールの質が向上した 【写真:アフロ】

 今回は、読者の方から寄せられた「錦織圭選手(日清食品)はマイケル・チャンコーチと基礎的な反復練習をよく行っていると聞きますが、どういうものですか?」という質問にお答えします。

 確かに錦織選手とマイケルは、打ち方に関して結構、反復練習をしていますね。例えば、ボールへの入り方、つまり打点に入る際の足の動かし方であったり、ショットを打つときの体の使い方というような基本をしっかりやっています。マイケルが実際にデモンストレーションをしてみせて、「脚(下半身)からのパワーで打っていくんだ」みたいな指導をしている場面もありました。もっと体で、すなわち体幹を使って打つということをよく練習していることが見て取れます。

 その結果、マイケルと契約した最初のシーズンである2014年以降、一球一球に込めるエネルギー量がそれまでと違ってきたように感じます。
 マイケルが指導するように練習のときから全部のボールを、体を使ってヒットしていくと、実際、すごく体力を使います。でも、それができているからこそ、錦織選手の体力が上がっているのです。普段の練習に込めるエネルギーの大きさが14年の大活躍につながったのだと思います。

普段のルーティンが重要

 マイケルと契約する前は、錦織選手の試合を見ながら「もっと攻撃的にできるよ」と思うことがありました。例えばブラッド・ギルバートコーチに駆け引きや守りの部分を重点的に習った時期があって、確かに攻められるボールを見極めるのは難しかったと思うのですが、「もっと錦織選手は攻撃的なテニスができる。打てるボールも打っていないな」というのが私の印象でした。見ている側としては、もっとできるのに、というもどかしさがありました。

 ところが、マイケルとやるようになって初めてのグランドスラム、14年の全豪で試合を見せてもらったときは「わ、すごい!」と思いました。見逃すボールがないというか、打つべきボールを全部打っていたし、すべてのボールの質が上がったと感じたからです。私にとっての“超理想”をやってくれていたので、感激してしまいました。

 それも反復練習のたまものでしょう。シーズンオフの練習を見ていたわけではありませんが、体力的な底上げも感じられて、オフに行った練習の質が今までと段違いであったことが、容易に想像できました。

 大会会場に入って、開幕までの調整期間にも、彼らがそういう基本練習をしている姿を見ることができます。ロジャー・フェデラー選手(スイス)などはそれと対照的で、会場では“がしがし”やっている姿はなかなか見られません。だから、普段、彼がどういう練習をして、どういうトレーニングをしているのかというのは私たちには未知の世界です。ところが錦織選手の場合、大会前でも普段の練習と同じようにやっているので、彼らの日常を垣間見ることができます。

 普段のルーティン、例えば決め球の練習であったり、その時々のチェックポイントの練習だったりという日常的な練習を、おそらくそのまま会場でもやっているのだと思います。そこは特徴的だし、彼らにはそれがすごく大切なんだろうなと思います。

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