福島ら短距離勢が欧州武者修行 世界陸上1カ月前の世界との距離

及川彩子

福島、「自分の走り」を出せず

「あっさりと抜かれるのは悔しい」と福島。なかなか自分の走りに徹することができず、模索が続いている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 福島はマドリード、ルツェルン、ベルギーの3試合を回った。今回は「世界と戦う際に、どこまで自分の走りをしながら粘れるか」を課題に挙げていた。福島は北京、ロンドンの両五輪、世界選手権にも09年ベルリン大会から3大会連続で出場している。準決勝まで進出した経験はあるが、そこで本来の走りができずに終わっているケースが多い。4度目の世界選手権では過去にできなかった「自分の走り」をしたいと考えていた。

 初戦のマドリードでは100メートルに出場し、11秒25と好タイムを出したものの、組5位でプラス通過ならず。決勝進出タイムが11秒23。わずかな差で決勝進出を逃した悔しさを胸に臨んだ2戦目は、高瀬、藤光と同様にルツェルンに。当初は100メートルと200メートルに出場予定だったが、200メートルは出場選手数の関係で走ることができず100メートルのみになった。レースでは得意のスタートで飛び出したものの後半伸び悩み、11秒34で6位だった。

「あっさりと抜かれるのは悔しいんですよ。でも相手を意識すると踏ん張って硬くなってしまうし、自分の走りをしようとすると相手を意識しないことになるし……。でも自分の走りをしないといけないんですよね。難しいです」と福島。

 3戦目は、藤光と同じくベルギーで100メートルに出場したが11秒37で2位。優勝タイムが11秒29だったこともあり、また課題が残るレースになった。アジア大会などでは自身の走りができているのに、世界では相手を意識してしまい、なかなか本来の走りをできずにいる。今季は「競技人生で一番調子が良い」と言うように、自身が持つ日本記録を塗り替えられるコンディションだ。世界の舞台で自身の走りをすれば、大きな自身につながるはずだ。

 3選手はそれぞれ課題を持って遠征に臨んだが、望んでいたような答えが得られた選手、そうではない選手とさまざまだ。慣れない環境で転戦しながらレースに臨むことは、心身ともに大きな負担になる。そんな中である程度の結果を出せたことは収穫だと言っていいだろう。今回の経験を元に、世界選手権までにどう調整し、課題を克服するのか。あと1カ月、彼らの挑戦は続いていく。

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著者プロフィール

米国、ニューヨーク在住スポーツライター。五輪スポーツを中心に取材活動を行っている。(Twitter: @AyakoOikawa)

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