選手を尊重するミキハウスのスポーツ支援 好循環を生む企業と選手の幸せな関係

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ベビー服からスポーツ支援まで

柔道の野村忠宏をはじめ、ミキハウスは数多くのアスリートをサポートしている 【スポーツナビ】

「ミキハウスのメンバーとしての意地と覚悟を持ち、木村(皓一)社長には大きな笑顔を。社員の皆さんにこの選手たちと同僚でよかった、応援してよかったと思えるように、ひとつでも多くの感動と興奮を共有できるように頑張ります」

 柔道で五輪3連覇を成し遂げた野村忠宏は、5月25日に行われたミキハウスのスポーツクラブ激励会でこうあいさつした。

 ミキハウスと聞いて、多くの人たちはベビー服や子ども服などのファミリー用品を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、アマチュアスポーツをよく見る人たちは、選手の所属先としてのイメージも持っているかもしれない。野村をはじめ、陸上の藤原新、卓球の平野早矢香、ボクシングの清水聡は皆、ミキハウスの所属だ。同社はスポーツ支援を柱の1つとして掲げ、現在はマイナースポーツを中心に14種目34人のアスリートをサポートしている。

 7月に開幕する水泳の世界選手権にも、競泳で4人(立石諒、小関也朱篤、松本弥生、清水咲子)、飛込で2人(寺内健、坂井丞)の計6選手をロシア・カザンに送り込む。多くのトップアスリートが所属するミキハウスにとって、スポーツ選手をサポートし続けることにはどんな意味があるのだろうか。社長室長の澤井英光氏に、その思いを聞いた。

サポートをはじめたきっかけ

 そもそも、ミキハウスはなぜスポーツ支援を始めたのか。アマチュアスポーツでは有力選手でさえ、競技を断念せざるを得ないケースがある。大学まではクラブで練習ができるが、そこから先はサポートがなくなってしまうことが多いからだ。

 きっかけは、そうした選手を何とか支援してあげてほしいと競技関係者から頼まれたことだった。1988年のソウル五輪で銅メダルに輝いた女子柔道の田辺陽子は、本格的なサポートを受けた第1号の選手だ。89年に入社し、その後92年バルセロナ五輪、96年アトランタ五輪の72キロ級で銀メダルを獲得した。

 その後も紹介を受けた選手を次々に受け入れていく中で、サポートした選手が成果を出していった。選手が話題になることで、結果的に所属先として紹介される「ミキハウス=アマチュアスポーツを応援している企業」というイメージが自然と定着。現在では紹介に加えて、サポートしてほしい選手本人や競技団体からの問い合わせが年間で約100件以上届くようになった。2020年の東京五輪が決まってからは、紹介もさらに増えている。

 数多くの相談を受ける中で、受け入れられる選手の数は限られる。人柄を重視しつつも、五輪で活躍できる競技の選手かどうかが採用基準になっている。さらに、以前からサポートしている硬式野球とフットサルチームを除き、費用のかかる団体競技やウィンタースポーツからは手を引いている状況だ。

「まだまだ十分ではなくて、もっとサポートしてあげられれば成果を出せる選手はたくさんいるだろうなと思うんです。けれど、企業としては無制限にというわけにもいかなくて……。われわれはできることだけを精いっぱいという感じです」

選手が競技に専念できる理想の環境

選手たちに「できるかぎり最高の環境を作ってあげたい」と語る澤井氏 【スポーツナビ】

 ミキハウスの大きな特徴として、選手が一般の仕事をしていないことが挙げられる。他の企業であれば、仕事を手伝うのはよくあること。ここでは自ら働くことを望んだ一部の選手を除き、ほとんどの選手が競技に専念している。

「選手たちはその競技をもっとやりたくて、自分の可能性を信じてうちに入ってきます。その夢を応援しているわけだから、できるかぎり最高の環境を作ってあげたい。だから『仕事をして』と言うことは全然意味がないんです。自分がやりたいことで入社するのならば、それをやること自体が彼らの仕事だと思います」

 引退後についても、その都度話し合いが行われる。会社で仕事を続ける選手もいれば、競技に関わる別の道に進む選手もいる。常に尊重されるのは選手の意思だ。

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