MLB球宴で輝いた“新・黄金世代” トラウト筆頭に25歳以下の選手が躍動

杉浦大介

メジャー史上初の2年連続MVP

先頭打者ホームランを放ったトラウトが2年連続MVP。“現役ベストプレーヤー”が史上初の快挙を成し遂げた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

“現役ベストプレーヤー”の称号を欲しいままにする男の先頭打者ホームラン――。

 7月14日(日本時間15日)にシンシナティのグレート・アメリカン・ボールパークで行われた2015年のオールスターゲームは、そんな象徴的な形で幕を開けた。

 まだセレモニーの余韻が残る1回表。シーズン中に35回2/3無失点記録を続けていたナ・リーグの先発投手ザック・グレインキー(ドジャース)の4球目を、マイク・トラウト(エンゼルス)のバットが捉える。打球は一直線にライトスタンドに飛び込み、“夢の球宴”らしい華やかなスタートとなった。

「オールスターの舞台だから、最初の何球かはエキサイトしてしまっていた。ただ、2ストライクを取られて以降は落ち着いて、そして速球を待ったんだ」

 試合後にそう振り返ったトラウトだったが、言葉に反し、23歳にして4度目となるオールスターの舞台でも浮き足立っているようには見えなかった。

 5回にも自慢の足を生かして併殺崩れで出塁すると、プリンス・フィルダー(レンジャーズ)の適時打で生還。3打数1安打1打点2得点の活躍でア・リーグの6対3での勝利に貢献したトラウトは、昨年に続いてMVPも獲得した。2年連続MVPはメジャー史上初めてで、有数のオールラウンド・プレーヤーと評される俊才のキャリアに新たな勲章が加わったことになる。

「すごいタレントだね。足、守備力、打撃力、パワーのすべてを備えている。トラウト、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)のような若い選手たちのプレーを見られるのは良いものだ。このゲームの顔であり、素晴らしいアンバサダーでもある」

 試合後、敗れたナ・リーグのブルース・ボウチー監督(ジャイアンツ)のそんなコメントには実感がこもっていた。そして、この若きパーフェクト・プレーヤーが主役となったことは、“若い力の台頭”がテーマだった今年の“夢の球宴”を象徴していたのだろう。

目玉不在と思いきや……新世代が台頭

今オールスターは25歳以下の選手たちが存在感を放った。左からブライアント、ハーパー、リゾ 【Getty Images】

 去年はデレク・ジーター、一昨年はマリアーノ・リベラが開幕前に引退を発表し、オールスターはヤンキースの重鎮たちとの惜別が最大の見どころだった。そんな過去2年と比べ、今夏の球宴は大きな目玉が不在に思えた。

 しかし……やはり米国に根付いたベースボールの伝統はダテではない。メジャーを支えてきた功労者たちに別れを告げている間に、トラウトを先頭とする新世代の星たちが着実に育っている。今年のオールスターは、そんな新スーパースターたちがあらためてお披露目される舞台になったのだ。

「(自分が初出場した際のクラブハウスには)マニー・ラミレス、イチロー、アレックス・ロドリゲスといったすでに地位を確立したベテランたちがいた。今こうして見渡すと、多くの若い選手たちで敷き詰められている。素晴らしいことだと思うよ。ベースボールは若いタレントを常に必要としているからね」

 25歳だった05年に初めて球宴出場したマーク・テシェイラ(ヤンキース)の言葉通り、今年は選出された全76選手の中で、25歳以下のプレーヤーが過去最大の20人を数える。現時点で全国区の選手はまだ少なくとも、よりフレッシュで、大きな将来性を誇るメンバーが集まった。

 特に昨季MVPを獲得したトラウト、今季前半戦で打率3割3分9厘、26本塁打を打った22歳のハーパー、現役最高の長距離砲と呼ばれる25歳のジャンカルロ・スタントン(マーリンズ/今オールスターは故障で辞退)、今年4月に鳴り物入りでデビューした23歳のクリス・ブライアント(カブス)の4人は計り知れないポテンシャルを感じさせる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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