ウィンブルドン見どころ 日本選手編 杉山愛コラム「愛’s EYE」
日本勢に多いフラット系にフィット
錦織は心配されたふくらはぎも軽傷で、開幕に間に合った 【写真:アフロ】
ただ、芝は基本的に日本人のテニスにフィットしているサーフェスとも言えます。錦織圭選手(日清食品)はどのサーフェスでもそれほど大きな影響を受けませんが、日本勢に多いフラット系主体の選手たちは、クレーより芝のほうがよりフィットしているように思います。
フラット系のボールは、短く刈り込んだ芝の上で、勢いが殺されることなくそのままの勢いで弾んでいきます。スライスはコートの表面を滑っていきます。それゆえ日本選手が得意とする速い展開がしやすいのです。
また、クレーではスピンボールは高く弾むので、特に女子の場合、力の入らない頭の上の打点で打たされるケースが必然的に出てくるのですが、芝はバウンドが低めなので、力の入るところで打てるのも大きな違いです。その分、重心を低くしてプレーする必要があるのですが、そこも日本選手の得意とするところでしょう。
特に添田豪選手(GODAIテニスカレッジ)は芝を楽しみにしているはずです。芝では彼のフラット系のボールが生きるので、私自身、彼がいいプレーをしている姿をイメージしやすいのです。普段より展開を攻撃的にして、自分から攻めるということを課題に芝へのアジャストに取り組んでいることでしょう。先手をとって、どれだけ攻撃的に自分から展開していけるかだと思います。
錦織選手のカギはサーブの出来
土居美咲選手(ミキハウス)は最初、予選から出場する予定でしたが、予選開幕直前に本戦に繰り上がりました。彼女は全仏でもアナ・イバノビッチ(セルビア)を相手にいい試合をしていますし、芝のバーミンガムでも予選から本戦2回戦に進出するなど、このところ好調なので期待していいと思います。芝は得意ですし、彼女の左利きのサーブも芝で有効です。
最後に錦織圭選手ですが、心配されたふくらはぎも軽傷で、開幕に調整が間に合いそうです。ウィンブルドンでは去年のベスト16が最高成績。攻撃力が上がっているのがプラス要素で、サーブも強化されているので今回はそれ以上を期待していいと思います。
彼の試合は、どのサーフェスでも、勝ち試合はサーブのリズムがいいという特徴があります。案外、ここというところでエースで締めくくる場面も多いのです。特に芝は、サービスゲームでは自分からの展開が大事ですし、それにはサーブ自体の出来がキーになります。
去年のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)との4回戦のように、芝では長身のビッグサーバーにサーブでドカドカやられると厳しい展開になりますが、その分、自分のサービスゲームにフォーカスしていければいいでしょう。キープ力も上がってきているので。まずは自分のサービスゲーム、という心構えで臨むといい結果が出るように思います。
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