車いすラグビー、メダル獲得への現在地 パラ出場懸かる10月の豪州戦が試金石
最強ラインを生かすため、セカンド・サードが重要
車いすバスケの選手でもある池は、その高さを生かして巧みなパスさばきをみせる 【スポーツナビ】
10月にリオパラリンピックの出場権を争うニュージーランドのアンドリュー・チトックHCも「個々の能力はもちろんのこと組織力が向上していて、プレーの精度も高い。対戦するたびに強くなっている」と舌を巻く。
その強化試合でパスカットを成功させるなど大活躍だった今井は、「出場時間がいつもより短く、疲労も少なかった。体もよく動き、集中してプレーできたことが良かった」と、その要因を振り返った。
日本は、セカンドライン、サードラインの強化を図っているところで、ファーストライン以外を積極的に登用している。得点力のあるファーストラインのメンバーをうまく休ませることで、重要な時間帯にその最強ラインの力がより発揮されることが証明された出来事だった。
「すべてはチームのため、メダルのため」
5月に行われた強化試合では、随所に選手同士で話し合う姿が見られ、個人の意識の高さもうかがえた 【スポーツナビ】
そして、10月には、パラリンピック出場権を懸けたアジア・オセアニア選手権で強豪国を迎え撃つ。15年に開催された世界選手権の優勝により、すでにリオへの切符を獲得しているオーストラリアも来日する予定だ。アシスタントコーチの原田麻紀子氏は「日本が最大限の力を発揮した状態で、世界ランキング1位のオーストラリアとどこまで戦えるのか。そこで日本の現在地を知ることがリオに向けて重要なカギになる」と言い、メダルへの試金石になることを示唆した。
3強撃破に向けて一丸となるチームは、個人の意識も高い。セカンドラインの中核を担う仲里進(2.5)は、8月にオーストラリア国内リーグに参戦。世界ナンバーワンといわれるオーストラリアの(障がいの軽い)ハイポインターと対戦することで、海外選手にも当たり負けしない体をつくり、さらには(障がいの重い)ローポインターの特長を研究して日本代表チームに還元するつもりだと言う。
エース池崎は5月末に、さらなる高みを目指しカナダで武者修行も行った。4月には全米選手権にも出場しており、体力の消耗が激しい中で試合をこなす。8月には仲里と同様にオーストラリアのリーグ戦にも出場する。「視野を広くし、ローポインターにうまく指示ができる選手になりたい」と話し、「すべてはチームのため、メダルのため」と言い切る。
彼らが課題をクリアした先に、リオの表彰台がある。光り輝くメダルを目指すウィルチェアーラグビー日本代表に注目してほしい。