嘉藤貴行ついに掴んだ夢舞台 デビュー16年目の初ダービーへ

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競馬上手なところがこの馬の身上

好位置から上手に競馬をする点がコメートの身上 【netkeiba.com】

 3戦目となった新潟2歳S(GIII)には、アヴニールマルシェやナヴィオン、ミュゼスルタンなど評判馬が顔を揃えていたが、12番人気で4着とコメートは最後まで踏ん張りを見せた。

「ペースが速くて最初は大変でしたけど、スピードに乗ってしまえば大丈夫でした。最後はこの条件に適性のある馬に少し敵わなかったですけど、よく頑張ってくれたと思います」

 デビュー2戦目まで1800mを走っていたコメートには、1ハロン距離が短縮されたこのレースの流れは少し速かったようだ。

 4戦目は11月に行われた福島競馬場でのきんもくせい特別(500万)。再び距離は1800mとなり、コメートはデビュー以来初めて1番人気に推されて、見事に先頭でゴールインした。

「このレースは完勝でした。スローの2番手からの競馬で、折り合いもバッチリつきました」

 2勝目をマークしたコメートは、重賞のホープフルS(GII)に出走する。関西から来年のクラシックを狙おうかという逸材が集まる中、コメートは8番人気とまたしても低評価だったが、3番手からレースを進めて、シャイニングレイの2着に健闘した。

「この時も上手に内を回って、うまく前に行けました。好位置でレースを進めて流れ込むという、競馬上手なところがこの馬の身上だと思います」

デビュー16年目、初めてのダービー

最終追い切りも順調そのもの! あとはスタートを待つだけだ 【netkeiba.com】

 ホープフルSで賞金を加算したコメート陣営は、明け3歳初戦に弥生賞(GII)を選択した。ホープフルSから約2か月振りの実戦だったが、競馬上手なコメートにしては珍しく、折り合いを欠くシーンが見られた。

「この時は道中でシャイニングレイにぶつけられて、引っ掛かってしまったんです。それがなければ、もう少しやれたと思うんですけどね」

 と8着に敗れた弥生賞の敗因を分析し、このようなアクシデントさえなければ、折り合いには問題がないことも付け加えた。

 そして迎えた皐月賞(GI)。過去、菊花賞(2002年マイネルアムンゼン14着)に騎乗経験はあるものの、嘉藤にとって春のクラシックレースは初騎乗で、結果は10着。

「特に緊張はなかったですし、馬も落ち着いていました。ワンダーアツレッタの後ろに入って少し窮屈でしたけど、不利というほどでもなかったですし、それなりの競馬はできました。着順がどうなったかはわかりませんけど、インで器用にレースをするタイプですから、もう少し内枠だったら良かったかなと思います」

 弥生賞、皐月賞とここ2戦とも、コメートの長所が今ひとつ発揮されずに不完全燃焼のレースが続いている。それだけにダービーでは、同馬のレースセンスの良さを存分に発揮させたいと嘉藤は燃えてはいるが、今のところ、緊張やプレッシャーは感じていない。

「これがグリグリの1番人気なら違うのかもしれないですけど、今のところ緊張はありません。デビューして結構年数が経っていますからね(笑)」

 そして、相棒コメートについてはこう評した。

「鞍上の指示に素直に従いますし、本当に乗りやすい馬です。カリカリするところもありますけど、最後は人間に対して素直ですし、とても良い子です」

 5月27日、コメートは嘉藤を背に坂路を力強く駈け上がり、ダービーの最終追い切りを無事に消化した。

「バッチリです。どこも痛いところもなく、順調そのものです。息もできていますし、何の不安もなく臨めます」、追い切り後の囲み取材で、嘉藤は爽やかな笑顔を見せた。

 デビュー16年目にして初めて騎乗する日本ダービーについて、最後に意気込みを聞いた。

「成績が落ち込んだ時期もありましたし、辞めようと考えたこともあります。ダービーに騎乗できるとは思っていなかったので、夢のようですね。せっかく出られるのですから、頑張ってアピールしたいです。そしてこれまで僕を乗せてくれて、応援してくれた人に少しでも恩返しができるようにと思っています」

 素直で競馬上手な相棒コメートとともに、夢の大舞台に立つ日が近づいている。

(文中敬称略)

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