中村克が日本新記録で100自V 豪州遠征で学んだ前半から仕掛ける意識

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オーストラリアでつかんだもの

次の目標は47秒台と、中村は先を見据える 【写真は共同】

 転機となったのは、日本代表として臨んだ先のオーストラリア遠征だ。日豪混成チームを作り、オーストラリア人選手たちと練習や試合を共にこなしていく中で、多くの刺激を受けた。

「レースに出て、積極的に入る選手が多かった。自分に足りないのが前半から積極的にいく部分なので、そういうところをしっかりまねしていきたいと思います」

 遠征で学んだ前半から仕掛ける新たな泳ぎを実践したのが、今回のジャパンオープンだ。楽に泳ぎながらも48秒90の好記録が出た予選の泳ぎに、大きな手応えを得たのだろう。「自分からそういうことは言わないタイプ」だという男から強気の発言が飛び出した。

「そこ(前半に力を抑えること)さえなくせば、不安は残ると思うけれど絶対に記録は伸びる」

 迎えた決勝、前半を全体2位の23秒64で折り返した中村は、持ち味である後半の伸びも失うことなく、自己ベストを大きく更新することに成功した。

さらなる記録更新を目指して

 とはいえ、世界記録は09年にセザール=シエロフィーリョ(ブラジル)が打ち立てた46秒91。今回、中村が出した日本記録との間には、1秒50もの大きな隔たりがある。100メートル自由形では、まだまだ世界の舞台で戦える選手がいないのが現状だ。リレーメンバーとして世界選手権の代表入りを果たした中村は、次の目標を語る。

「世界選手権を戦いたいので、しっかりと決勝に進出できるよう練習を積んでいきたいと思います。タイムの目標は47秒台。少しは近づいてきたので、早い段階で47秒台を出せるようもっと努力していきたいと思います」

 ライバルに先を越された塩浦も黙ってはいない。「先に(日本記録を)更新されてしまったのですごく悔しい。次に記録を破るのは自分だという気持ちです。幸いにも、少しだけしか上回られていないし、夏にはもっと上のタイムを狙っている」と、闘志を燃やす。

 6年ぶりとなった今回の記録更新。次の機会はそう遠くない、7月のロシアで訪れるかもしれない。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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