日本代表のエース・福岡堅樹の可能性 「ラグビーW杯でスターになれる」
韓国戦で3トライも満足せず
韓国戦の3トライ目は「3人目の動き」で奪った。 【斉藤健仁】
3本目は圧巻だった。試合終了間際の後半39分、「最後はがめつくいった部分もある」という本人の言葉の通り、LOトンプソン ルーク(近鉄)がSO廣瀬俊朗(東芝)へパスを出そうとした瞬間、ブラインドから一気に加速し、WTB藤田慶和(早稲田大4年)も狙っていたコースに先に入り、そのまま廣瀬から内返しのパスを受け取り、インゴールに飛び込んだ。さしずめ「3人目の動き」で陥れたトライだった。
だが、言語能力にも長けている福岡は、試合後、WTBとして攻撃面でのミスを猛省していた。「チャンスをつぶしてしまったことが2回ありました。ワールドカップでは1回しかチャンスが回ってこないかもしれないので、絶対にトライを取らないといけない」。1つ目は前半38分、外にスペースがあったにも関わらず内に切ってしまい「外に切ればよかった」。2つ目は後半31分にパスをしてインターセプトを許した場面があり、「もう少し早めにパスをするか、自分でキャリーすればよかった」と振り返った。
W杯で憧れのハバナ超えを目指す
福岡のさらなる成長を求めるエディー・ジョーンズHC(右) 【斉藤健仁】
W杯の初戦の9月19日には「憧れています」(福岡)という世界的WTBの一人、ブライアン・ハバナがいる南アフリカ代表と対戦する。「もともと自分と同じスピードタイプの選手ですし、ジョーンズHCにも『ハバナを超えるように』と言われているので意識しています。対決してみたい」と静かにライバル心を燃やしている。
試合後、ジョーンズHCは福岡のことを「本当に誰も持っていないスピードがある。ハードワークを重ねれば、W杯でスターになれる可能性がある」と称える一方で、「フィールド内での仕事の取り組みが良くない。ディフェンスをまったく理解していない。スタートとしては良かったが、まだまだこれから」と苦言を呈することも忘れなかった。だが、これは指揮官の期待に裏返しでもある。全体練習に参加して1週間ということを鑑みれば、十分に合格点を与えることができよう。
世界に肩を並べる選手へ
「まだスピードは100%の状態ではない」とトレーニングに励む福岡。 【斉藤健仁】
日本代表には日本人選手初のスーパーラグビー(SR)選手で、判断に長けたSH田中史朗(ハイランダーズ/パナソニック)、今年はケガのためSR挑戦は断念したオールラウンダーHO堀江翔太(パナソニック)、そして、今シーズン、オールブラックスがそろう強豪チーフスの中でも輝きを見せている日本代表のスキッパー、FLリーチ マイケル(東芝)……。
そして、もう一人、世界に肩を並べる選手になりうる選手が福岡というわけだ。本人が「まだスピードは100%の状態ではない」と言うとおり、まだまだ速くなる可能性は十分である。今後、スピードとともに、その存在感は増すばかりだ。