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日本代表のエース・福岡堅樹の可能性
「ラグビーW杯でスターになれる」

韓国戦で3トライも満足せず

韓国戦の3トライ目は「3人目の動き」で奪った。
韓国戦の3トライ目は「3人目の動き」で奪った。【斉藤健仁】

 トレーニングの成果は、すぐに試合に現れる。前半14分、スクラムからラインブレイクされ、相手のFBがゴールライン直前に迫ったが、福岡が逆サイドからスピードを生かし、そのままハードタックルでトライを防ぐ。後半24分にはターンオーバーからチャンスを得て、福岡はCTBカーン・ヘスケス(宗像サニックス)からのパスを受け取ると、50mを走りきってインゴールを駆け抜けた。


 3本目は圧巻だった。試合終了間際の後半39分、「最後はがめつくいった部分もある」という本人の言葉の通り、LOトンプソン ルーク(近鉄)がSO廣瀬俊朗(東芝)へパスを出そうとした瞬間、ブラインドから一気に加速し、WTB藤田慶和(早稲田大4年)も狙っていたコースに先に入り、そのまま廣瀬から内返しのパスを受け取り、インゴールに飛び込んだ。さしずめ「3人目の動き」で陥れたトライだった。


 だが、言語能力にも長けている福岡は、試合後、WTBとして攻撃面でのミスを猛省していた。「チャンスをつぶしてしまったことが2回ありました。ワールドカップでは1回しかチャンスが回ってこないかもしれないので、絶対にトライを取らないといけない」。1つ目は前半38分、外にスペースがあったにも関わらず内に切ってしまい「外に切ればよかった」。2つ目は後半31分にパスをしてインターセプトを許した場面があり、「もう少し早めにパスをするか、自分でキャリーすればよかった」と振り返った。

W杯で憧れのハバナ超えを目指す

福岡のさらなる成長を求めるエディー・ジョーンズHC(右)
福岡のさらなる成長を求めるエディー・ジョーンズHC(右)【斉藤健仁】

 W杯のメンバーは8月末に発表される予定で、WTBは3枠と競争が激しいが、福岡はアピールができたと言えよう。「3トライという結果を残せて良かったです。スプリント回数を増やすことが(今後の)課題の一つです。ただディフェンスでも使える選手にならないと(W杯のメンバーに)選ばれないので、調子を上げていきたい」と本番を見据えた。


 W杯の初戦の9月19日には「憧れています」(福岡)という世界的WTBの一人、ブライアン・ハバナがいる南アフリカ代表と対戦する。「もともと自分と同じスピードタイプの選手ですし、ジョーンズHCにも『ハバナを超えるように』と言われているので意識しています。対決してみたい」と静かにライバル心を燃やしている。


 試合後、ジョーンズHCは福岡のことを「本当に誰も持っていないスピードがある。ハードワークを重ねれば、W杯でスターになれる可能性がある」と称える一方で、「フィールド内での仕事の取り組みが良くない。ディフェンスをまったく理解していない。スタートとしては良かったが、まだまだこれから」と苦言を呈することも忘れなかった。だが、これは指揮官の期待に裏返しでもある。全体練習に参加して1週間ということを鑑みれば、十分に合格点を与えることができよう。

世界に肩を並べる選手へ

「まだスピードは100%の状態ではない」とトレーニングに励む福岡。
「まだスピードは100%の状態ではない」とトレーニングに励む福岡。【斉藤健仁】

 かねてから、ラグビー日本代表が世界に伍するためには、個人的には、ラグビーの15のポジションのうち5人くらいは世界の三指、もしくは五指に入るような選手が必要なのでは、と思っていた。


 日本代表には日本人選手初のスーパーラグビー(SR)選手で、判断に長けたSH田中史朗(ハイランダーズ/パナソニック)、今年はケガのためSR挑戦は断念したオールラウンダーHO堀江翔太(パナソニック)、そして、今シーズン、オールブラックスがそろう強豪チーフスの中でも輝きを見せている日本代表のスキッパー、FLリーチ マイケル(東芝)……。


 そして、もう一人、世界に肩を並べる選手になりうる選手が福岡というわけだ。本人が「まだスピードは100%の状態ではない」と言うとおり、まだまだ速くなる可能性は十分である。今後、スピードとともに、その存在感は増すばかりだ。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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