井村体制で成長し続けるシンクロ日本代表 進化の鍵は磨きをかけた“足”にアリ

沢田聡子

世界選手権は自らの力でメダル獲得を

世界選手権のメダル獲得を目指す日本代表。チーム内の雰囲気も良好のようだ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

「あの子たちにとったらいつものジャパンオープンと全然違いますよね。真剣勝負ですもん」と井村コーチは言う。「彼女たちは去年のワールドカップを通じてメダルが見えかけたんですね。見えかけた中で試合に臨むのと見えていない時とは全く違って、彼女たちは今、葛藤しながらこの試合に出ていると思います」

 現在、特別アドバイザーとして日本代表を見守る金子氏は「みんなニコニコしているし、頑張っています」とチームの良い雰囲気を感じている。
 井村コーチも言う。「期待される、今勝てるという時期に選手をしているのは、選手冥利に尽きますよね。今は本当の意味でメダルのあるところに行こうとしている。全然、去年とは変わりました」

 日本がメダルを失ってから代表入りした今の選手たちは「戦う醍醐味、伸るか反るかの時に勝つ醍醐味を知らないできた」と井村コーチは見ている。
「何かを背負ってやるのは選手ならでは、それでなかったらあかんと思います。それを苦しいと思うんやったら選手をやめた方がいい。それは日本を背負う選手として当然のこと」

 井村コーチは、乾と三井に「去年、なぜウクライナに勝てたか知っているか」と問いかけ、こう話したという。
「金子先生と私が気が強くて、負けるのが嫌いで、押しまくったからだけやで。あんたたちの力違うで。それは勝ちは勝ちや。あれは貴重な一勝で、間違ったらあかん」

 世界選手権では、選手が自らの力でメダルを取りにいく。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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