南部監督「テーマは“固定観念の排除”」 2015年度バレー全日本男子始動会見

スポーツナビ

マイナスなイメージを払拭させる

“固定観念の排除”を目指す南部監督。外国人との対戦でマイナスのイメージを払拭できるか 【坂本清】

南部監督 今年で2期目に入りましたが、リオ五輪までは1年しかありません。全日本男子としては、今年が最もチャレンジしなければならない、いろんなことに対して勇気を持って行動しなければいけない年でもあります。五輪まで16カ月を切り、最終予選まで13カ月もありません。そういった中でW杯で良い成績を残せるように全力を尽くしていきたいと思います。

 まず、15年の目標についてです。昨年のアジア大会でイランとのチーム差を実感させられました。今年はアジア選手権、W杯でアジアのライバル国であるイランやオーストラリアとの対戦が予想されます。こういったチームに対し、今年度中に公式戦で白星を挙げる。アジア選手権では優勝したい。W杯についても、世界の強豪国やアジアのライバルになんとか競り勝って、2枚の切符を取るために全力を尽くす。この2つを目標に挙げています。チームのテーマは“固定観念の排除”です。われわれが対戦するチームはほぼ100%といっていいほど体格では相手が勝ります。2メートル台の選手もたくさん招集していますが、世界は2メートル10センチ以上の選手たちがいます。その中で、われわれは身長が高いからハンデがある。筋力や骨格が違うからパワーで負ける。そういったマイナスなイメージを大会を通じて払拭させる。海外チームに慣れる。そういった強化方針のもとでやっていきたいと思います。そのためには、過酷な練習や海外経験が必要ですが、今年のスケジュールはそういった考えを組み込んでいます。その中でチームをひとまわりもふたまわりも大きくして、W杯に向けてチームを完成させていきたいと思います。ワールドリーグでは、大学と調整をして中心選手も帯同ができる試合が何試合かあります。そういった問題があるのですが、現状を理解しながら、最大の強化方法でチームを完成させたいと思います。今年は強化と人気復活。女子のほうが人気がありますが、それを意識しながら男子も強くなって日本バレーが復活したと言われるようにしたいと思います。

自覚と責任感を持たせるためのグループ名

NEXT4に選ばれた4人。左から高橋、石川、柳田、山内 【坂本清】

――新キャプテンの発表と新キャプテンへの思いを一言。

南部監督 新キャプテンはセッターの阿部でスタートしたいと思います。彼はここ数年、代表から離れていましたが、過去に世界大会を何度も経験しています。それ以外のセッター、昨年デビューした深津(英臣)に足りない部分に、彼のキャリアをうまく融合していいコンビバレーが展開できるような存在になってほしいと思います。

――人気と実力のさらなる向上に向けた具体的なプランはあるのか?

南部監督 去年は若手をデビューさせました。柳田、山内、高橋、石川をデビューさせたのですが、今年は彼らに自覚と責任感を持たせるために何かいい方法がないか考えました。人気だけ上がってもしょうがないのですが、人気と実力が備わった選手になってもらいたいということで、彼ら4人にグループ名をつけようかという話になりました。これからの期待を込めて、彼ら4人を“NEXT4”というグループ名で売り出したいと思います。

――NEXT4の4人に期待することは?

南部監督 それぞれに期待しているのは各自のポジションの役割があります。柳田、石川は、WSとして中心的な役割をやってもらいたいです。直近はリオ五輪ですけれど、その後のことを考えると、彼らにはリーダーになってもらわないといけません。自分のポジションの技術と、チームをまとめるリーダーシップを磨いてほしいです。山内は昨年の試合を通じて課題があります。フィジカル面やキャリアが足りないので、今年はパワーアップしてもらって、不動のMBになってほしいです。高橋は元々MBでしたが、今年からオポジットにポジションをコンバートしました。彼の潜在能力である高さとパワーは日本人離れしたものがあります。清水以降、なかなか日本人のオポジットがいないと言われてきた中で、彼がその役割を担う存在だと見ていて、最終的には日本を背負うエースとして成長することを期待しています。

今年は若手を強化、ベテランは充電期間

今年はベテランにとって充電期間だという。メンバーで五輪の経験があるのは清水のみとなった 【坂本清】

――小田強化委員長に質問。来年の五輪最終予選について現状で分かっていることは?

小田強化委員長 私も詳細はまだ聞いていませんし、日程も決まっていません。ただ、日本で開催し、8カ国の中から4カ国が五輪に出場できる。アジアのナンバー1と残り3チームということです。それ以上は認識していません。日本で開催するので、日本は参加します。5月〜6月にかけて行われると聞いています。

――オポジットとリベロについて。戦力をどう考えているのか?

南部監督 どうしてもV・プレミアリーグにおいて日本はオポジットに外国人を起用するので育たないところがあります。シーズンが終わって海外に行くと、試合勘の部分で清水以外の選手は技術が伴わない部分をまだまだ感じます。その清水について、昨シーズンの成績を分析しても1枚ブロックであれば、世界とある程度は対等の勝負ができる。これはパスの状態にもよりますが、Aパスです。Aパスであれば、日本のWSは同じくらいのアベレージを残します。しかし、BパスやCパスになるにつれて、ブロック枚数が増えるとブロックに当ててしまったりミスが出ます。最終的に状態が悪いなかで(トスが)上がってくるのがオポジットなので、清水や松岡を強化していきたいです。高橋に関しては、世界とある程度戦える高さがあります。彼は高さを武器にしながら、技術をどれだけ早く身に付けるか。そのためには実戦を通して、できるだけ早く成長させたいと思います。

 リベロについては今回3人のベテランを選びました。日本の最も重視しないといけないのはレセプションです。パスがある程度いいところに返れば、勝負できる。リベロの力は重要ですし、WSも若い選手が多いので、リベロが守りのリーダーシップを取ってもらいたいと思います。戦力分析としては、海外の選手と日本の選手を比べるとハイセット。つなぎのトスの部分が違います。トスをリベロが上げると決定率が下がる傾向があるんです。今年はハイセットを鍛えて、チームがどうなるかを見ていきます。

――メンバー選考について、越川(優)、福澤(達哉)らこれまでの主力が外れた理由は?

小田強化委員長 個々の選手について言うつもりはありません。方針として日本バレー界の再生とリオ五輪に向けては、若い世代が台頭しないと勝てないというのがあります。長年、清水、福澤、越川を中心としてやってきました。彼らに力がないということはないのですが、今年は若い有望な選手を強化する。これが一番の目標です。最終的にはリオ五輪最終予選、ここまでに若い選手を育てる。そのために、ベテラン選手は充電期間だと思っています。来年に最後の五輪予選を戦うときには、その時のベストなメンバーで臨むべきだと考えています。今の若い選手中心になるのか、ベテラン中心になるのかは分かりません。そういう意味では南部監督にとって試練の場だと思っています。来年に充電したベテランと合わせて選手選考を行い、五輪最終予選を戦いたいと思います。

<次ページから、選手のコメントと質疑応答>

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