ハリルホジッチ「日本はより強くなる」 国際親善試合 ウズベキスタン戦後会見

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5得点の快勝に喜びを示すハリルホジッチ監督 【写真:ロイター/アフロ】

 サッカー日本代表は31日、東京スタジアムでウズベキスタン代表との国際親善試合に臨み、5−1で勝利した。日本は前半6分に青山敏弘の代表初得点で先制すると、後半はゴールラッシュを披露。柴崎岳、宇佐美貴史、川又堅碁と途中出場の選手がネットを揺らすなど、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の采配が的中し、快勝を収めた。

 試合後、指揮官はこの試合を振り返り「スペクタクルな試合にすることができた」と満足げな表情を見せた。そして「私はこのチームがもっと速く、もっと強いチームになると思っている」と今後の日本代表の成長に胸を膨らませた。

 また会見の中で指揮官は“ハリルホジッチイズム”の片鱗を披露。後半、水本(裕貴)を本職ではないボランチに入れた意図を「前もって準備していたこと」と説明。「ブロックをわざと下げることで相手に対して罠を仕掛けた。これがタクティクスだ」と記者に対し説明していた。

スペクタクルな試合にすることができた

 皆さんも喜んでくれる試合だったと思う。良い試合だったし、たくさんの良いアクションがあった。効果的で素早い攻撃が後半にできた。ハーフタイムで選手には、オーガナイズとブロックを正すこと。そして、カウンターから2点目、3点目を狙っていこうと話をした。そしてタクティクスを変更して、空中戦で勝負に挑むことも加えた。(後半)われわれはしっかりポジションをとることで、何点かスペクタクルなゴールを決めることができた。

 選手にはおめでとうと言いたい。素晴らしい10日間の合宿ができたことについて、スタッフに感謝したい。この2試合を準備するのは簡単ではなかった。いろいろな人に意見を聞いて、みんなで仕事をしてきた。関わってくれた多くの人たちに感謝したい。私は多くのリスクを負うこととなった。この2試合で27人の選手を使ったが、これは大きなリスクだった。しかしハーモニーと競争心を持ってプレーしてくれた。全員がアピールしたいと思っていたし、後半から入ってきた新しい選手たちも得点を決めてくれた。本当に素晴らしい門出だったと思う。ただし、まだ何かを成し遂げたわけではないので、焚き付けたりしないでほしい。われわれには、まだ続けなければならない道がある。まだまだ良くなると思うが、(いつも)こんなに点を取ることはできない。今回は例外的に多くの点が取れて、スペクタクルな試合にすることができた。選手とスタッフに感謝したい。

──27人を使って多くの選手が活躍したが、これからもレギュラーを固定せずに調子の良い選手を使っていくのか? それとも今後、メンバーを固めていくのか?

 私は、メンバーを決めるやり方はしない。20人ほどのフィールドプレーヤー、そして何人かのGKを、多くの可能性を持って使いたい。それからできるだけ(試合が行われる)現地で見て、誰のパフォーマンスが良いかを見極めたい。今夜見たのは、競争心を持って戦ってくれた選手たちだ。誰もが自分のポジションを得たいと思っていた。日本代表は、そうやって向上していくし強くなる。この2試合を見たが、さらに2〜3人ほど面白いと感じている選手もいる。現時点で20人(のフィールドプレーヤー)と3人のGKを選ぶのは難しいが、選手のクオリティーが高いということを確信した。競争心がなければ、日本代表は向上しない。まだたくさんの目的、たくさんの野心を持たないといけない。(今後も)それぞれの合宿で、国内・海外問わず良い選手を選んでいきたい。日本のすべての選手を見たいし、それぞれの合宿でチャンスを与えたい。

──この2試合で最も収穫だったことは何か? また6月からのワールドカップ(W杯)予選の手応えは?

(合宿前に)映像をたくさん見てきて、アグレッシブさが足りないと感じていた。それからプレーのスピードも予想と違っていた。この合宿でしっかりアグレッシブさとコンタクトを要求することで、高いレベルのものを見せてくれた。特に強調していたのは前に行くスピードだ。この2試合で、かなり多くのチャンスを作ることができた。私はこのチームがもっと速く、もっと強いチームになると思っている。それを続けることで、より強くてスペクタクルなサッカーになる。

 これで終わりということではない。(ここにいる)選手には能力もモチベーションもあり、良い試合をすることができる。W杯の予選突破は別の話で、もっともっと向上しないといけないが、予選を突破したい気持ちはみんな持っているし、それは私の目的でもある。(選手たちには)モスクワの話もしている。もし予選突破できれば、その時にW杯のことを考えようと思う。何かをそこで成し遂げたいし、何かトライしたい。(選手には)勇敢さ、大胆さ、自信を持つように言っている。コンプレックスを抱くな、ということも言っている。どんなに強いチームに対しても、勝つことができるということを考えないといけない。

ブロックを下げることで相手に罠を仕掛けた

ウズベキスタンに勝利し、2連勝で自身の船出を飾ったハリルホジッチ監督【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】 【写真:ロイター/アフロ】

──非常にアグレッシブでスピードがある攻撃だったが、そのためにボールを失う可能性もある。そこはどのようにマネジメントしていくのか?(大住良之/フリーランス)

 今日はタクティクスとして、水本をボランチに置いたのも彼が空中戦に強いと感じていたからだ。最初、彼は「そのポジションはやったことがない」と驚いていたが、前もって準備していたことだ。時に間違いもあるが、これはタクティクスだ。後半に水本を入れてブロックを作り、特に左サイドから攻めようとした。向こうも数的優位を作ってきて、20番(トゥフタフジャエフ)に決められてしまった。1失点したのは満足していないが、ちょうど交代の準備をしていたので(失点シーンは)見ていない。選手の疲労もあった。

 ただディフェンスに関しては、ディフェンスではなくオフェンスを入れ、オフェンスが最初のブロックとなることを要求した。オフェンスの選手は4〜5人いるが、全員でディフェンスをするトレーニングをした。これが現代フットボールだ。今日の試合は、スペクタクルでコレクティブだったと思うし、多くの人が評価してくれるだろう。2〜3点、スペクタクルなゴールだったし、少なくとも霜田(正浩)技術委員長は満足していた(笑)。私と仕事をしていたので、彼も疲労していたが、彼のサポートにも感謝したい。

──前へのスピードとアグレッシブさなど、攻撃に関して哲学が感じられたが、これがチームの方向性と考えてよいか? また、この2試合の相手はアグレッシブだったが、アジアだと引いて守る相手が出てくる。それでもベースは変わらないのか?(田村修一/フリーランス)

 タクティクスについてだが、(日本は)コンプレックスを抱いている。先に高い位置にプレスをかけに行くように要求しているが、第1ラインと第2ラインの間にスペースを空けていた。今回はトレーニングをほとんどしていないが、ゲームの展開によってウィークポイントをその都度タッチライン際から指示を出して修正した。そして後半、ブロックをわざと下げることで相手に対して罠を仕掛けた。これがタクティクスだ。相手にこちらに来るように仕向けて、スペースを作らせてからボールを奪って素早くカウンターを仕掛けることで4点が取れた。だからいつも後ろでオーガナイズすること、タクティクスをコントロールすることが重要だ。

(W杯の)日本対コロンビア(1−4)を思い出してほしい。信じられないくらいナイーブな試合だった。全員がペナルティーエリアの中に入って、後ろに誰もいない。後半に言ったのは、リスクを取ること。ただし、細かい修正やオーガナイズはさせていた。その点については満足している。(選手と)一緒に仕事をするのは初めてなので、オートマティズムを求めるのは難しい。ただし、選手は100パーセントを出してくれた。間もなく(W杯)予選が始まるが、毎試合準備が必要だ。ブロックを保つこともあるだろうし、低く保つこともあるだろうし、その中間もあるだろう。それはシチュエーションによるわけで、いつも高く保つのは不可能だ。そういったタクティクスのアドバイスをしていく。そうすれば、このチームは自ずと向上する。この2試合では、プレスは高く、ブロックは低く、というのを分けた。前半、(ベンチから見て)逆サイドが戻って来ないという状況はあったが、それもすぐに(選手を呼んで)修正した。良い試合をできたが、今後も修正は必要だと思う。

──5点取れたが、最もスペクタクルで好きなゴールはどれか? また来月14日にW杯予選の組み合わせ抽選会があるが、どんな準備をするか?

 青山の1点目が素晴らしかった。素晴らしいボレーで、テクニックはパーフェクトだった。柴崎のゴールもスペクタクルだった。皆さん気付いたと思うが、オカ(岡崎慎司)がこのボールに付いて行って、点を取りそうになったがわざと柴崎のゴールにした。素晴らしいことだし、珍しいことだし、どこにも存在しないことだ。チームのために、彼はそうした行動をした。そのことが実は一番スペクタクルなのかもしれない。

 それから14日のことだが、おそらく(抽選会場には)私はいない。一番、悪いグループに入ることを予想している。その時は欧州に行って選手を見たいと思っている。(抽選会に出席するのは)霜田技術委員長か大仁(邦彌)会長かは分からないが、これで予選突破できなかったら、それは私のせいではなくて霜田技術委員長のせいだろう(笑)。

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