競馬場に癒やしペッパー 宮記念◎サドン=乗峯栄一の「競馬巴投げ!第94回」

乗峯栄一

人は誰でも「上手に騙して欲しい」

[写真5]レッドオーヴァルの差しも鋭い 【写真:乗峯栄一】

 山本さんはAYMと並んで芝生に座り、競馬新聞を広げる。「宮記念の本命決まりました?」とAYMが主人の新聞を覗き込む。

「まだ決めかねてるんだ、一応ストレイトガールかなって思ってるんだけど」

「えっ、ズバリですよ。どうして分かったんですか?」とAYMは大仰に驚く。モゾモゾと山本さんの耳元に寄ってきて「この競馬場でこの大穴を仕留めるのはきっとご主人さまだけですよ」とささやく。

 結果、ストレイトは追い込み届かずの惨敗となる。

 レース後、山本さんはいらつく。キマジメであるゆえに、失敗すると、余計に屈折した怒りがわき起こる。

「わー、乱暴は止めてくださーい。お怒りは分かりますが、最終レースこそご主人さまの出番です」

「ほんとか?」

「もちろんほんとですとも。ドーンといきましょう」

 AYMの奮闘によってキマジメ戸籍係は有りガネ勝負する逆上ギャンブラーに変貌していく。しかし決してAYMを恨むことはない。人間はいつでも誰でも「上手に騙して欲しい」と願っているのだから。

先行激化ならサドンストームの出番!

[写真6]究極の先行激化とにらんで、◎サドンストームの出番! 【写真:乗峯栄一】

 いやあ、それにしても今年の高松宮記念は難しいメンバーになった。

 一番人気すらはっきりと分からない。5連勝でGIを取ってからドカ負けもあるミッキーアイル[写真1]だろうか。そのミッキーアイルを前走阪急杯で猛烈な差し脚で圧倒したダイワマッジョーレ[写真2]だろうか。それとも去年の覇者コパノリチャード[写真3]だろうか。アンバルブライベンも好調だし、香港のエアロヴェロシティも強そうだ。

 まあ、このあたりから一番人気は出るのだろうが、多くの馬が、逃げ・先行脚質だというのが気になる。好位差しのストレイトガール[写真4]やレッドオーヴァル[写真5]にもチャンスが回ってきそうだ。

 しかし新装中京は案外外からの追い込みもきく。究極の先行激化になれば、サドンストーム[写真6]の出番のように思える。2走前シルクロードSのラチ沿いから馬群を縫う猛烈な末脚が忘れられない。

 サドンの単(6)。三単頭(6)固定、ヒモにストレイト(18)、ミッキー(16)、レッド(9)、ダイワ(13)、香港エアロ(4)、それにもう一頭差し馬で怖い真っ白なリトルゲルダ(1)を加えて6頭、30点で勝負する。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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