U−22日本代表に期待する「伸びしろ」 “ぬるい”ミャンマー戦から見えたもの
前後半でパフォーマンスの差が生じた要因
鈴木(9番)と中島(10番)の関係性は最初からうまくいっていたわけではない。招集歴の浅い後半のメンバーと差があるのは当然だ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
興味深いのは、7点を奪った前半の支配率が53.8%とより低く、2点にとどまった後半の支配率が59.2%と上がっていること。もちろん相手の士気低下といった要因もあるが(サッカーは常に相手ありきのスポーツである)、後半のほうがより手数がかかり、フィニッシュまで行くペースが落ちていたことも確かだろう。ハーフタイムに5人を入れ替えたことで、チームとしての練度が落ちたのも否めない。
そして手倉森監督は、前後半でパフォーマンスに差が生じたことを「伸びしろ」という言葉で形容する。1年間の積み上げがある選手と、招集歴の浅い選手の間に差が生まれているのは、ある意味で健全な状況だ。たとえば、共に4得点を記録した鈴木と中島の関係性は、昨年のアジア大会を戦う中で確立された感もあるが、決して最初からうまくいっていたわけではない。ゴールへのイメージが共有されたと感じるようなシーンも、チーム結成当初に比べて格段に増えている。逆に後半のメンバーについて言えば、そうした関係性を増やす「余地がある」ということなのだろう。
伸びしろは、競争の中にこそある
海外組に「負けたくない気持ちはある」と語った鈴木。チームの伸びしろは選手間競争の中にある 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
もちろん、すでに形になっているチームに個性の強い材料が加わることで、マイナスに作用する部分も出てくるだろうが、そこは指揮官の「料理の腕」に期待したい。マカオ、ベトナム、マレーシアと同居したこの1次予選。1位にならねば確実に抜けられないレギュレーションであることを考えれば、決して楽な戦いにはならないだろう。ただ、彼らの目的は予選突破ではなく、あくまでも「リオまで行って、日本の歴史を変える」(手倉森監督)こと。そして、その先にあるA代表での飛躍だ。
ここまでほぼメンバーを固めてきた指揮官だが「(予選を)勝ち抜いたあとに強化期間をしっかり作りながら、もっともっと高みを目指す」として、3月の予選終了後には、さらに新たな選手を加えてチームを再編していくことも匂わせた。伸びしろは、競争の中にこそある。ただし「その先」のためにも、まずは3月のAFC U−23選手権予選だ。アジア大会で戦いながら、チームとしての完成度を高めていったように、ここでも競争しながらチーム力が上がっていく。そんな戦いを期待したい。もちろん、勝利は大前提として。