青木宣親、新天地の役割は不透明なまま けがなくチームに貢献できるかがカギ

鈴木良枝

意見分かれる青木の起用法

条件が合致し、念願のジャイアンツ移籍を果たした青木。しかし、新天地におけるポジションは保証されていない 【Getty Images】

 現地時間2月19日(日本時間20日)、サンフランシスコ・ジャイアンツはアリゾナ州スコッツデールでバッテリー陣がキャンプインし、ワールドシリーズ連覇へ向けたシーズンが始まった。24日には野手陣が合流し、青木宣親もいよいよキャンプインする。西海岸、優勝できるチーム、大都市という青木の移籍条件に完全に合致し、念願かなって移籍が実現した球団で、メジャーリーガーとしての4年目をスタートさせる。

 今回は青木の起用方法を考えてみたいと思う。ジャイアンツの今季の守備を考えてみると、ライトのハンター・ペンス、センターの「切り込み隊長」アンヘル・パガンの2人はほぼ確定だろう。青木はレギュラーが確約されていないレフトを守ることになる。昨シーズン、ジャイアンツのレフトは安定せず、多くの選手が守った。多くの記者は、グレゴー・ブランコの方が守備力は上と見ているが、開幕戦でレフトを守るのは青木ではないか、と予想している。打順に関しては、出塁率と足を生かすなら上位、逆に得点圏打率を考えると中軸を返せる下位と、さらに意見が分かれている。

 2012年にワールドチャンピオンに輝いた時には、リードオフマンとして大車輪の活躍をしたパガンだが、ここ2年は腰や背中のけがで長期離脱することが多かった。昨年9月に椎間板ヘルニアの手術を受け、10月にクラブハウスで会った時には「来季開幕までには十分に間に合うよ」と話していたが、万全な状態になっているかは球団も懸念しているところだ。
 パガンの状態次第では違うプランも考えなくてはならず、センターも守れて1番も打てる青木はそれに備えられる。つまり、他の選手の状態などチーム状況によって、青木は守備位置も打順も変わるだろうという見方が現段階では強い。

番記者の評価は?

 地元記者はどう見ているのか? ジャイアンツの元選手で現在はテレビ中継のキャスターを務めるマイク・クルーコウ氏は「ユニークなスタイルを持っている選手。スピードがあり、逆方向にも打つことができる。外野はどこでも守れる」と評価した。

 長年ジャイアンツの番記者で『サンフランシスコ・クロニクル』紙のヘンリー・シェルマン記者は、青木をスピードがあり巧みなバットコントロールを持つ選手と紹介し、「青木は今まで1番を打ってきたが、ブルース・ボウチー監督はアンヘル(パガン)を先頭打者にする方針を変えていない。しかしながらアンヘルが長期離脱をすることになった場合に1番も打てるし、とても良い保険になる」と伝えている。
 あらためて青木について尋ねると「外野を全て守ることができる。そのため、他の選手を休ませることもできる。打順は7番か8番もしくは2番。三振が少なく左投手に強いというのも評価されたのでは」。

 実は青木がブリュワーズに所属していた12年5月、初めてこの球場に試合で来た時に、私はプレスボックスで隣の席に座って見ていたシェルマン記者に、青木のMLBでの可能性を聞いていた。

「足も速いし、小技も使える、十分やっていけると思う」

 これが彼の答えだった。

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著者プロフィール

サンフランシスコ在住。テレビ局勤務。スポーツリポーター、AP、コーディネーター。高校野球の監督だった父親の影響で高校・大学では野球部のマネージャーを務める。大学時代よりプロ野球やMLB中継に携わる。テレビ局のスポーツ局での勤務を経て、その後拠点を米国に移す。現在はサンフランシスコ・ジャイアンツやサンフランシスコ49ersなどスポーツの取材を中心に行うほか、コーディネーターとして幅広くテレビ番組の制作にも関わっている。

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