京都駅ビル大階段を駆け上がれ! 171段に挑む冬の古都風物詩

スポーツナビDo

レースは過酷、でもそれが面白い!

スタート地点から見上げるとこの通り、とてつもなく長く、高い大階段だ 【スポーツナビDo】

 ルールは4人1組のチームで出場。4人の合計タイムと個人のタイムを競うのだが、第1走者は45歳以上、第2走者は18歳以上の女性、第3・第4走者は18歳以上という決まりがある。今年は79チーム、316名が挑戦した。

 個人的な話で恐縮だが、かく言う僕も大学生のころから10年近く関西に住んでいたことがある。なので、京都駅ビルの大階段の存在は知っていたものの、ここで競走する大会があるなんてつい最近まで知らなかった。で、あらためて大階段を見上げてみると、とてつもなくデカイ! 高い! ここを全力疾走するなんて気は確かですか?と聞きたくなる。

WBC世界王者・山中慎介もビックリ!? 【スポーツナビDo】

 ゲスト出演していた南京都高校(現・京都廣学館高校)出身のWBC世界バンタム級チャンピオン・山中慎介も「こんなに長かったかなぁ……」と、その大階段のド迫力に圧倒されていた。

ゴール付近は必ずこうなってしまう…… 【スポーツナビDo】

 でも、出場する選手は本気も本気。歴代最高記録は20秒03!というのだから驚くばかりだ。試しに大会前に、僕も歩いて階段を上がってみたけれど、100段を超えるころにはもう足パンパン。これを20秒で駆け上がるなんて、人間業ではないですね。

 もちろん、みんながみんな、そんな超スピードで駆け上がるわけではなく、半分を超えたあたりでフラフラになり、足が上がらなくなって転びそうになったり、ようやくたどり着いたゴールでは「もうダメ……」とばかりに倒れこむようになだれ込んだりと、この“苦行”とも言える大階段駆け上がりに四苦八苦。その一方で、ハイレベルランナーの駆け上がりは迫力満点だし、20秒台で駆け上がってしまう人の走力・体力にはただただ凄い!と感心。また、レースが過酷だからこそ抜きつ抜かれつのデッドヒートがあり、ゴール寸前の大逆転劇があったりと、平地のレースを見ているよりも面白いのだ。

一般ランナーに混じってエルサや…… 【スポーツナビDo】

……ピッコロも大階段にチャレンジ! 【スポーツナビDo】

個人総合1位の堀尾泰寛さん、昨年に続く連覇で、タイムは20秒54 【スポーツナビDo】

4連覇の無敵チーム

4連覇を達成したクライマーズドリーム(左から吉田さん、一人挟んで齋藤さん、池野さん、掛川さん) 【スポーツナビDo】

 さて今年、そんな大激戦を制したチームは「クライマーズドリーム」。合計タイムは1分33秒17で、2位のチームに5秒以上の大差をつけての大会4連覇だ。

 メンバーは池野昌弘さん、齋藤有紀さん、掛川真さん、吉田光一郎さん。4人とも陸上の選手で、チーム最年長の50歳・池野さんは昨年のマスターズアジア大会で200メートル、400メートル、400メートルハードル、4×400メートルリレーの4冠を達成、吉田さんは西宮神社開門神事福男選びで5度の福男、関西学院の大学生・掛川さんは昨年の日本ジュニア・ユース陸上競技選手権大会の200メートルで3位、そして紅一点・齋藤さんはこの大階段駆け上がりで今年も含めて個人女子の部4連覇と、まさに無敵のチームだ。

女子の部4連覇の齋藤有紀さん、タイムは28秒15 【スポーツナビDo】

 池野さんによると、陸上シーズンが終わる11月ごろから階段駆け上がり大会に向けたトレーニングを開始するそうで、ただ階段をダッシュすればいいわけではなく、ウェートトレなども含めてバランスよくトレーニングしなければ、階段を速く駆け上がることはできないのだという。

「階段駆け上がりは独特の技術が必要なんですが、その分、平地とは違った楽しさがありますね」

アンカーを務めた吉田さんは個人総合2位、タイムは20秒77だった 【スポーツナビDo】

 大階段駆け上がり大会は5連覇すると殿堂入りとなってしまうため、もし来年も優勝したら、チームは解散となってしまう。また、池野さんは個人としても45歳以上の部で4連覇したため、来年は“引退”がかかった大一番となりそうだ。

「大会も有名になってきたので、関西だけじゃなく全国から速い人たちが集まってきていますし、年々レベルが上がっていると思います。でも、もっと強い人たちに挑戦してきてほしいですね。その中で5連覇を目指します!」
 我こそは「クライマーズドリーム」の5連覇を阻止してみせる!と、脚力に自信を持つみなさん。ぜひとも来年、チャレンジしてみてはいかがでしょう?

プロポーズ大作戦を決行!

小林裕基さんが彼女のもとへと大階段を猛ダッシュ! 【スポーツナビDo】

 一方、今回は大会史上初のバレンタインデー開催とあって、こんな素敵な特別レースも行われた。

 チャレンジしたのは小林裕基さん。その手に握られているのは白い小さな箱と、結婚情報誌『ゼクシィ』。そして、ゴール地点では、付き合って5年になるという寺尾友花さんが待っている。そう、小林さんは大階段駆け上がりを成功させた上で、彼女にプロポーズをしようというのだ。

 スタート地点で友花さんへのこれまでの感謝や思いを叫ぶと、いざ登頂開始。途中、何度もつまずいてしまうが、ついに1度も転ぶ事なくゴールすると、友花さんの前で片ヒザをつき、指輪を差し出してのプロポーズ! 友花さんも満面の笑顔でOKを出し、見事に大階段駆け上がりプロポーズ大作戦は大成功に終わった。

プロポーズは大成功! 【スポーツナビDo】

末永くお幸せに! 【スポーツナビDo】

「本当に良かったです。やるんやったら、思いっきりプロポーズしようと思ってました」(小林さん)

「こんな大掛かりなところでプロポーズされるとは思ってなかったのでビックリしました」(友花さん)

 集まった友人や、大会を見に来ていた大勢のギャラリーの前で永遠の愛を誓った2人。例えこの大階段のような困難に直面しても、これからは2人だからどんな苦労もきっと乗り越えられます。末永くお幸せに!

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

2/2ページ

著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント